Cerner社 AWSを活用した医療AIシステムの本格強化へ

米Cernerは、Amazon Web Services(AWS)が提供するクラウドプラットフォームを医療AI開発の軸とすることを公表した。米国ミズーリ州に本拠を置くCernerは、24000名の従業員と昨年度54億ドル超の売上を誇るヘルスケアIT大手で、電子診療録や院内会計システムなど医療ワークフローの自動化と効率化に多面的な貢献を続けてきた。

Silicon Angleの報道によるとCernerは今月、AWSを同社の「優先クラウドプロバイダー」から「優先クラウド・AIプロバイダー」に格上げ指名を行ったという。これにより、Cernerの新しいAIプロジェクトがAWS上で複数走り始めることとなる。これには、電子診療録から再入院リスクの高い患者を自動抽出するAIシステムが含まれている。また、同社が特に注力する開発システムに医師事務作業の自動化があり、AWSが新しく提供を始めた機械学習サービス「Amazon Transcribe Medical」(過去記事)と抱き合わせることで、医師が診察中にメモを取るタスクからの開放も図るとのこと。

先行して本年7月に公表したAmazonとの提携に際しても、Cerner CEOのBrent Shafer氏は「Cernerが次に狙うヘルスケアイノベーションの核がAIにある」ことを隠していない。AIを中心とした先端テクノロジーは医療者の役割と実務にパラダイムシフトをもたらす可能性が高いが、実臨床への導入には多くの壁もある。一方でCernerをはじめとしたEHRベンダーは、従来機能の拡張の先に新技術を据えた展開が可能になるため、比較的技術導入がスムーズであることも一つの強みとする。

 

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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