病理AIがフランスの日常臨床へ取り込まれる

Medipathはフランス最大の民間病理ラボネットワークとして知られるが、悪性腫瘍検出のためのAIソリューションを広く導入することを公表した。これにより、フランス全土170を超える病院・診療所において、AI診断支援サービスが日常臨床ルーチンに取り込まれることとなる。

Medipathが21日明らかにしたところによると、導入されるのはIbex Medical Analyticsが開発したGalen Prostateで、前立腺生検によって得られた組織標本を自動解析し、病理医による初期診断と不一致が生じた際に警告を発することができる。Galen Prostateは既にCEマークを取得しているとともに、臨床研究においては悪性腫瘍検出についてAUCで0.997と非常に高いパフォーマンスを示すなど、リアルタイムでの悪性所見の見逃し予防に期待が大きい。

フランスでは病理医の数が不足する一方、病理診断を要する標本数は年ごとに増加しており、病理医の業務負荷が問題となっている。Medipathでイノベーションテクノロジー部門を率いる医師のDelphine Raoux氏は「我々のAI導入は、Medipathにとってだけでなくフランスの病理学およびがん治療における分岐点と言えるだろう」としている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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