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機械学習フレームワークによる「結核治療の失敗予測」

結核は人類と共に長い歴史を持つが、いまだに世界の主たる死亡原因の1つとして存在し、その脅威が衰えることはない。年間1000万人が命を落とす結核は、「原因の定かでない治療失敗例」が一定数にみられることが大きな問題となっている。この結核治療の失敗例を事前予測するAI研究がパキスタンの研究チームから報告された。

学術誌 Tuberculosisにて公表されたチームの研究論文によると、feature selectionによって「結核治療の失敗と強く関連する特徴量」を探索したという。研究では、治療失敗がより顕著な6つの国(アゼルバイジャン・ベラルーシ・ジョージア・インド・モルドバ・ルーマニア)で収集された患者データベースを利用した。2種のアルゴリズム検証実験では、78-92%と高い識別精度を示し、結核治療の失敗例を有効に予測することができたとのこと。

現状の医療提供体制や保険制度、一般的な健康状態、ヘルスコンシャスに大きな差のある国々を一塊としてアルゴリズムを導いていることから、研究の限界は明確にあり、当該研究によって得られた成果をそのまま一般化することは難しい。一方で、「限定的な事前情報のみから結核治療の失敗を予測し得る」という事実は非常に示唆的で、各国での追試研究実施も期待される。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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