健康の人種格差解消の鍵は地域の理髪店に

米疾病予防管理センターは、米国内での白人と黒人との間に指摘される平均余命の差の理由の1つとして、心血管疾患を推定している。ロサンゼルスを拠点とする研究グループは、黒人が住民の割合の多くを占めるエリアで、地域の理髪店にビデオ遠隔システムによる血圧測定器を設置し、その健康格差を埋めることを期待するプロジェクトを展開している。

POLITICOが報じたところによると、このプロジェクトは、地域社会においては理髪店が住民との信頼関係を築いていることに注目し、そこで高血圧治療薬の服薬状況と血圧を追跡することを考えた。疫学的調査においては、いわゆる「自分たちの縄張り」という意識が、対象者の協力姿勢にも影響を及ぼす。ロサンゼルスの理髪店での調査が費用対効果の優れたものとなることが確認されたため、プロジェクトは現在、ナッシュビルの美容院に環境を移している。

健康面での人種格差に対処するテクノロジーの利用には、地域社会の要因が課題となってきた。テック系スタートアップとメディケイドを結びつける非営利団体Health Tech 4 MedicaidのAdimika Arthur氏は「コミュニティへの投資は、短期的な収益ではなく、より包括的で長期的なものと考えることでコミュニティの活性化につながる」と語っている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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