年間アーカイブ 2021

The Medical AI Times 編集部が選ぶ – 2021年 注目記事 Top 10

「2021年」はCOVID-19の感染状況の推移と、大規模ワクチン接種の進捗状況を神経質に見守る一年となりました。次世代技術の機が熟し、英知が結集した極めて迅速なワクチン開発は、多くの専門家の予想を上回るものでした。あらためて、危機に立ち向かったすべての人々に感謝と敬意を捧げます。 The Medical AI Timesは本年も「医療 × AI」に関心の高い読者の皆さまの支持をいただき、1年を走り切ろうとしています。12月には、第80回日本公衆衛生学会総会において、立教大学大学院人工知能科学研究科・吉川厚特任教授をお招きし、「コンピュータとの対話でどこまで正確に患者情報を把握できるか?」をテーマに、弊メディア副編集長の杉野が座長を務めたセミナーを盛会のもとに終えることができました(TOKYO analytica主催、リリース参照)。参加者の中にはThe Medical AI Timesの読者もいらっしゃり、直接お話する機会が得られたことを嬉しく思います。 編集部の体制は相変わらず少数精鋭・高度内製化を貫いておりますが、来年にかけてさらなる基盤強化を検討しています。来年のことを言えば「鬼が笑う」との言葉もありますし、いわゆるブラックスワンと呼ばれるような想定外の出来事がおきる不確実性の高い外部環境のなかでは、より一層の柔軟さを大切にしていきたいものです。 2021年「医療 x AI」のトレンドに関して、コロナ一色であった2020年とは景色が変わり、アフターコロナ/ウィズコロナを見据えた話題、あるいはコロナによって一時停止していた元来の課題解決に向けて再稼働・軌道修正するものがみられます。 毎年恒例の「1年を振り返るTOP10特集号」をもって2021年は最終記事の配信といたします。本年も誠にありがとうございました。 なお「2019 TOP 10」と「2020 TOP 10」の特集記事についても年末年始の落ち着いた時間にお目通しください。 では、The Medical AI Times編集部が2021年の配信記事から読者の皆様の注目度が高かった話題を10本精選いたします。 No.1 医療AIの最新活用事例とは?医師が解説【2021年版】 https://aitimes.media/medicalai_use 年間最大アクセスを記録し弊メディアを代表する記事です。編集長の岡本が手がけ、最新の2021年版にアップデートしています。「医療 × AI」「AI × 医療」の検索トレンドで国内有数の地位を占める私たちの仕事の集大成です。2022年版リリースもお待ちください。 No.2 新型コロナとAI:医療AIで新型コロナウイルスに立ち向かう最新テクノロジーまとめ(1月18日公開) https://aitimes.media/2021/01/18/7037/ 2020年2月18日から2021年1月14日まで、弊メディアでリリースしたコロナ関連178本の配信記事をまとめたもの。感染症とAIの関わり方を網羅的に俯瞰できる特集となっています。 No.3 スマートスピーカーを利用した心拍モニタリングシステム(3月11日公開) https://aitimes.media/2021/03/11/7553/ コロナ後をみすえ「非接触」が重要テーマとなっています。なかでもスマートスピーカーで心拍をモニタリングするという極めて先進的なブレイクスルーには、編集部一同強い衝撃を受け、大きな議論を呼びました。 No.4 投薬自己管理のエラーを防ぐリモートセンシング技術(3月19日公開) https://aitimes.media/2021/03/19/7610/ 「非接触」監視技術は従来、カメラ・映像が中心でしたが、上記の可聴域外音波の技術とはまた別に、無線信号・電波によるリモートセンシング技術が私たちの想像以上の進歩を遂げようとしています。カメラの死角をなくす、あるいは映像というプライバシー情報に配慮できるなどの利点をとなえ、医療監視の新潮流がきています。 No.5 2021年最新「世界の有望AIスタートアップ Top...

イスラエル DreaMed社 – インスリン投与量適正化AI

米国若年層における糖尿病の罹患率が上昇傾向にあるなかで、若い患者を中心にインスリン自己注射の投与量が最適化できていないとの報告がある。イスラエル発のテクノロジー企業「DreaMed」は、AIでインスリン投与量を個別管理するシステムを開発・提供している。 DreaMedのAIシステムは人工膵臓技術として最初期に米FDA認証を受けており、成長し続ける同領域を牽引する。その技術背景として、学術誌 nature medicineに発表された研究成果では「インスリンポンプの設定を最適化する意思決定支援ツールの使用は、糖尿病センターの医師が提供している集中的なインスリン管理と比較して”非劣勢”」という結果を示している。 COVID-19のパンデミックを経て遠隔医療の導入が世界的に加速したが、糖尿病管理においても遠隔医療を支える技術が必要とされている。その解決策としてのトレンドが、AIによるインスリン投与量適正化技術である(過去記事)。投与量調整という煩雑な作業をシステムによって一部代替することで、医療者のリソースを患者教育やカウンセリングといった重要なケアに集中させることが期待されている。 関連記事: 投薬自己管理のエラーを防ぐリモートセンシング技術 1型糖尿病のインスリン注射を専門医レベルで調節するAIアルゴリズム スマートインスリンペンは糖尿病治療のゲームチェンジャーになれるか 急成長する糖尿病管理AI – 北米マーケットが先導 AIを利用した人工膵臓

Lunitの医療AIソリューションが5カ国共同認証を取得

韓国の医療AIスタートアップであるLunitは、医療画像に基づく診断支援AI開発に強力な実績を持つ。同社は今週、医療機器の単一監査プログラム(MDSAP)の認証を取得したことを公表した。これにより、米食品医薬品局(FDA)、カナダ保健省、日本厚生労働省(MHLW)、オーストラリア医薬品庁(TGA)、ブラジル保健規制庁(ANVISA)からの重複した規制手続きの一部または全部が免除されることとなる。 MDSAPは、国際医療機器規制機関フォーラム(IMDRF)が実施する制度で、医療機器の単一かつ協調的な監査を通じ、安全性および品質管理基準について認証するもの。MDSAP参加5カ国の医療機器市場規模は2,232億ドル(約25.6兆円)と推定され、世界市場の約55%を占める。胸部X線画像用のLunit Insight CXRとマンモグラフィー用のLunit Insight MMGは、すでに世界38カ国、450の医療機関で使用されており、今回の認証によってLunitのグローバル展開がさらに加速することが見込まれる。 Lunitはこのほど、Lunit Insight MMGのほか、緊急疾患者を自動的に分類する「Lunit Insight CXR Triage」についてもFDA認可を取得したとする。AIバイオマーカープラットフォームの「Lunit Scope」や、乳房断層撮影用の「Lunit Insight Chest CT」「Lunit Insight DBT」など、多様なAIソフトウェアを開発し、ソリューションラインアップの拡充を図っている。 関連記事: 韓国Lunit – KRX上場への足取り 欧州放射線学会 ECR 2021 – PhilipsとLunitがX線診断AIでの提携を公表 ...

PhDコース紹介 – ウィーン医科大学「Machine Learning for Medical Imaging」

オーストリア・ウィーンに所在し、世界で最も歴史ある医学校のひとつ、ウィーン医科大学(Medical University of Vienna)で、企業による全額資金援助のPhD学生が公募されている。医療画像への機械学習の適用、特に眼科領域の研究を行うものだが、関心のある読者は一考の価値があるのでご参照のこと。 OPTIMAが支援する本コースでは、眼疾患への応用を目的とした医療画像向け機械学習研究で、全額出資の博士号ポジションを提供している。研究の焦点は、信頼できる眼疾患AIソリューション確立のため、3D光コヒーレンス・トモグラフィー(OCT)画像から網膜病理の堅牢で解釈可能な特性評価を構築すること、とする。OCTデバイスのリーディングカンパニーと密接に連携し、眼科専門医のための効果的なAI支援システムを構築することを目指す。 応募者にはコンピュータサイエンスの強力なバックグラウンドが求められるが、医療専門家・エンジニア・コンピュータサイエンティストなどが集う学際的で刺激的な研究環境に身を置けること、同グループが保有する大規模なマルチモーダルデータセットへのアクセス、最先端のハイパフォーマンス・コンピューティング・クラスターの利用、などが可能となる。ウィーンは直近10年連続で「世界で最も住みやすい都市」に選ばれるなど、その住環境も大きな魅力となる。 詳細はこちら、応募締め切りは2022年1月30日までとなる。 関連記事: Perimeter – 術中に病変微細構造を確認できるOCTシステムでFDA認証を取得 マウントサイナイ医科大学 – 博士課程にヘルスケアAIコースを新設 モデルナ – 社員教育を目的としたAIアカデミーを開設 イリノイ大学 – 「臨床家向け医療AIプログラム」を提供開始 【立教大学大学院人工知能科学研究科・公式インタビュー 】 傑出したAI人材輩出の拠点へ

画像検査報告書は誰のもの? – 患者向け記述に変換するAI「Ezra Reporter」

画像検査の読影レポートは医療者向けの専門用語と言い回しで記載され、「患者が自分自身の検査結果を理解し解釈できるようには作られていない」のが一般的である。米ニューヨーク拠点のヘルスケアスタートアップ Ezra社は、検査報告書の複雑な所見記述を、患者向けに簡略化し普遍的な用語に翻訳するAIシステム「Ezra Reporter」を発表している。 Ezra社のリリースによると、Ezra Reporterは機械学習ベースのソフトウェアで、検査報告書内の難解な記述所見を患者に分かりやすい非専門用語に変換し、その結果を専門家レビューを経た上で提供するというもの。Ezraは「全身MRIスキャンによる検診サービス」を主幹事業として業界を牽引しており、受診した会員がレポートをよりよく理解し自身の健康管理に積極的に役立てることを、新サービスの狙いとしている。Ezra Reporterはワークフローの短縮にも貢献し、スキャンから報告までの待ち時間を従来の7営業日から3営業日に短縮することも可能にした。 Ezra社は検診のあらゆる面にAIを導入し、すべての受診者がアクセスできる民主的なサービスの提供を目指している。AIの活用例は今回のレポートに限らず、煩雑な再診予約や長い待ち時間などに対し、受診者のストレスを軽減するためにも用いられている。「医療データは誰のものか」、そして医療者と一般患者との「情報の非対称性」という論点にも、Ezra社はAI技術による独自の取り組みを続けていく。 関連記事: 画像解析AIの性能向上に読影報告書を活用 画像レポートから無症候性脳梗塞を識別する自然言語処理技術 医療ミスを防ぐAI技術 – インシデントレポートの解析アルゴリズム Simbo.ai – 自然言語理解による臨床文書作成支援システム Savana EHRead – 深層学習と自然言語処理による精密医療の加速

Exscientiaの躍進

2021年、数多の医療AIスタートアップの中で最もまばゆい輝きを放ったのは「英国のExscientiaである」ということに異論の余地はほぼ無いだろう。英オックスフォードに本拠を置き、創薬をAIで変革する同社は本年、多数のマイルストーンを達成し業界から大きな注目を集めた。 医薬品開発において研究者らを支援するAIプラットフォームを構築するExscientiaは、少なくとも既に3つの新薬を臨床試験に至らせた。2012年に設立された同社は、バイエル・サノフィといった大手製薬のほか、日本の大日本住友製薬、世界最大の非営利研究機関であるSRIインターナショナルなどとも提携する。本年4月、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2が主導したシリーズDラウンドでは、2億2500万ドルの資金調達を行った。また6月には、競合にあたるAllcyteを6100万ドルで買収しており、ウィーンの本拠を欧州の拠点として拡大することを目論む。 10月にはティッカーシンボル「EXAI」でニューヨークに上場し、3億470万ドルを調達したほか、私募により、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2およびゲイツ財団に、追加で727万2727株の米国預託株式が売り渡され、その受取額は1億6000万ドルとなった。創業者でCEOのAndrew Hopkins氏は、現在1860万株を所有しているが、売却の意図がないことも明らかにしている。「開発した全ての治療薬を誰もが享受できる世界」を目指す同社は、AIによって製薬を革新し続けている。 英Exscientia – BMSとの12億ドルに及ぶAI創薬契約に署名 英Exscientia – シリーズCラウンドで6,000万ドルの資金を調達 バイエル薬品とAI創薬Exscientiaが提携 – 新規薬剤開発の新潮流へ AIによる創薬初の臨床試験開始

豪メルボルンの健康ビッグデータが示す「COVID-19による受診行動への影響」

COVID-19を抑え込むために厳格なロックダウンが行われた際の、医療機関への受診行動に与える影響が各種ビッグデータから解析・総括されてきている。2020年に2回の厳格なロックダウンが行われたオーストラリア・メルボルンにおいて、医療サービスへの影響を調査した研究成果が発表されている。 Journal of Epidemiology in Community Health誌に掲載された、豪モナッシュ大学による研究成果によると、大学内に設置されているヘルスケアデータベース「Healthy Ageing Data Platform」から、メルボルンのFrankston-Mornington Peninsula地域の救急外来受診・急性期入院・亜急性期入院の分析を行っている。人口約28万人の同地域は多様な年齢層と社会経済的背景を有し、医療の大部分を「Peninsula Health」という単一のサービスを通じているため、医療における動態調査に関して理想的な環境にある。過去4年間の受診データをもとに、Seasonal and Trend decomposition using Loess(STL)という手法から「COVID-19が発生しなかった場合の2020年の受診状況」を予測し、実際の受診状況と比較分析した。その結果、ロックダウンが行われた感染の第1波・第2波ともに、予測患者数に対して実際の受診は大幅に下回っていた。特に80歳以上と18歳未満の患者で最も顕著な減少がみられていたという。また、緊急性の高いトリアージ「カテゴリ1」と緊急性のない「カテゴリ5」では予想範囲のレベルで受診数が推移していた。 これらの結果は、メルボルンの厳格なロックダウンにおいて、「ロックダウン以前に救急外来を頻繁に利用していた患者層が在宅健康管理にシフトしたこと」や、「市民は生命に関わる症状については支障なく受診ができたこと」が示唆されている、と研究チームは考察する。本研究は、2020年のロックダウンが医療サービスにどのような影響を与えたか、正確かつ包括的な調査として高水準のエビデンスを示す。地域ベースのビッグデータが応用される方向性を示した好例としても、今後の研究発展が期待される。 関連記事: COVID-19がメンタルヘルスに与える影響 新型コロナウイルスによって急増する外来受診者数 – バーチャルケアの可能性 Amazon HealthLake – 患者情報の標準化と医療ビッグデータ分析の大本命へ

骨折の見逃しを防ぐAIシステム

救急部では多くの外傷患者に対して単純レントゲン写真を撮像するが、特に夜間帯など、放射線科読影医が不在の時間帯において骨折所見の見落としが多発することが、先行研究から明らかにされている。疲労がピークとなっている当直医にとって、解像度の決して高くない単純レントゲン画像から「淡い骨折線」を漏れなく抽出することは、非常に困難な現実がある。 米ボストン大学の研究チームは、このような骨折所見を事前にスクリーニングし、システム内でフラグを立てることで見逃しを防ぐAIシステムを開発した。放射線領域の権威ある学術誌・Radiologyに収載された本研究論文によると、システムは多施設から四肢・骨盤・腰椎・胸椎・肋骨など、全身の単純レントゲン写真から学習しており、骨折が疑われる領域を強調表示し、医療者に警告することができる。このAIシステムの支援により、骨折の見逃しを29%減少させることを検証試験では明らかにしている。 著者らは「AIは放射線科医やその他の医師の診断パフォーマンスを向上させ、効率を高めるための強力なツールになると同時に、医療機関受診時の患者体験を改善する可能性がある」と主張している。医療者にとってのセーフティネットとしてのAIシステム導入は、現場の臨床家からも受け入れられやすいため、疾患領域を問わず多様なシステムが模索されている。 関連記事: 小さな舟状骨の隠れた骨折をX線画像から識別するAI研究 骨折特性と患者背景から術後の感染症リスクを推定する機械学習アルゴリズム 胸部CTへのAI適用でサルコペニアを評価する時代が到来するか? 救急部での臨床判断を支える「新しい機械学習トリアージツール」 救急科AI – COVID-19の増悪を予測するマルチモーダルAIシステム

心電図を活用して肺塞栓症を検出するAI研究

肺塞栓症は、四肢の深部静脈で作られた血栓が剥がれ肺動脈を詰まらせることで発生し、致死的な状況を招くリスクの高い疾患である。息切れや胸部痛といった自覚症状は多様な疾患でみられる非特異的なものであるため、現場での診断は容易ではない。診断を確定する検査のひとつ、肺血管造影CT(CTPA)は限られた医療機関でしか実施できず、検査に至るまでの障壁は相応に高い。 米マウントサイナイ・アイカーン医科大学の研究グループは、心電図から肺塞栓の兆候を検出するAIを発表している。European Heart Journal – Digital Health誌に掲載された研究論文によると、この機械学習アルゴリズムは心電図と電子カルテデータを組み合わせて学習している。肺塞栓症の発症を判断する上で、既存のスクリーニング手法4種(Wells's Criteria、Revised Geneva Score、Pulmonary Embolism Rule-Out Criteria、4-Level Pulmonary Embolism Clinical Probability Score)よりも高い特異性と精度が示された。 心電図という広く普及し比較的容易に利用できる検査方法を、スクリーニングアルゴリズムに組み込むことに本研究の優位性がある。電子カルテデータ中心のアルゴリズムでは肺塞栓症検出の成功率にムラがあり、一方でより精度の高いアルゴリズムを追究するとCTPAのような高度な検査データに大きく依存してしまう。医療AIの普及にとって、日常的に収集できる身近な検査方法を効率的に組み込むことが戦略的に重要であり、本研究は臨床的ニーズとうまく合致した好例と言える。 関連記事: 小児静脈血栓塞栓症のリアルタイムリスク予測モデル 肺塞栓症のAI画像診断を改善 – AidocとImbioのシステム統合 非専門家のための深部静脈血栓症の診断AIツール「AutoDVT」 Cardiologs –...

FDAが「医療機器における3Dプリント技術」への意見を募集

米国における医薬品および医療機器の規制当局にあたる米食品医薬品局(FDA)はこのほど、ポイントオブケアのための「3Dプリント医療機器」について、その規制に焦点を当てた新しいディスカッションペーパーを公表した。 同局のCenter for Devices and Radiological Health(CDRH)は当該文書を公開し、「医療機器業界、メーカー、医療従事者、医療機関、その他の関係者」からの意見を広く求めている。ディスカッションペーパーには、3Dプリント技術の簡単な歴史と、3Dプリント設備が機器の安全性・有効性にどのような影響を与えるかについて、現時点でのFDAの見解が記載されている。また、病院・クリニック・その他医療施設での機器のプリントに関連し、いくつかの重要な課題についても詳しく解説を加えている。 CDRHの機器評価部門でディレクターを務めるWilliam Maisel医師は「医療機器の3Dプリントは、イノベーションとヘルスケアの最前線にある」と述べ、技術の活用が今後さらに広がることに触れる。その上で、「患者に個別最適化した装置や手術計画用の解剖学的モデルを迅速に作成できる」といった医療者向けとしての、従前の利用用途拡大だけではなく、「医療施設が患者ニーズに迅速に対応するのに役立つ多くの用途がある」と、その利用領域の広さに言及している。 18ページに及ぶ「3D Printing Medical Devices at the Point of Care」は、FDAのウェブサイトから入手・閲覧が可能となっているので、ぜひ参照のこと。 関連記事: 「3D印刷された皮膚」が創傷治癒を加速する 米Monogram Orthopedics – 個別化インプラントで人工膝関節置換術を変革 AIとバイオスキャフォールド – 創傷治癒を加速させる先進技術 米オークリッジ国立研究所...

試験管内のニューロンがビデオゲームPongを学習する

神経細胞(ニューロン)をデジタルシステムに結合し、細胞がもっている計算能力を利用する技術が手の届きそうなところにきている。オーストラリアでコンピュータチップを開発するスタートアップ「Cortical Labs」の研究者らは、「ヒト脳細胞の塊にビデオゲーム”Pong”を教え込んだ研究」を公開している。 bioRxivのプレプリントサーバーで公開中の同研究では、「サイボーグ」と名付けられた"ヒト幹細胞を脳細胞に成長させた塊"に、卓球を模した原始的なビデオゲームPongを学習させるシステムを開発した。Pongは飛んでくるボールに対し、パドルを移動させて跳ね返す単純なゲームである。開発したシステムでは、ボールの位置を電気信号として細胞に伝えており、例えば右側にある電極が発火すると脳細胞はボールが左にあることを知る。また周波数情報からボールとの距離を知るといった仕組みとなっている。サイボーグはゲームがうまくいくためのパドルの動かし方を繰り返し学んでいき、電気信号としてフィードバックする。システムは5分以内でゲームの遊び方を学習することができ、これは既存のAIマシンよりも大幅に早いレベルと研究チームは考察している。しかし、現状でのスキルレベルはヒトやAIよりも遥かに低いという点に改良の余地がある。 生きたニューロンの計算力を利用するSBI: synthetic biological intelligence(合成生物学的知能)は、強力なAGI: artificial general intelligence(汎用人工知能)よりも先に実用化するのではないかと予想する科学者も少なくない。脳の働きに着想を得た「ニューロモルフィックコンピューティング」も別のアプローチとして注目を集めており、Intelのチップ「Loihi」を以前に紹介した(過去記事)。今回のSBI研究成果は、機械学習システムの設計改善や、脳疾患を対象とした治療法の検証など、様々な用途への応用が期待される。 関連記事: Intelが発表したコンピュータチップLoihiによる人工嗅覚 独ドレスデン工科大学 – 生体移植可能なAIシステム開発 肺移植の拒絶反応を嗅ぎ分ける電子の鼻 脳とコンピュータの接続技術確立へ – 米 Paradromics社

モデルナ – 社員教育を目的としたAIアカデミーを開設

米マサチューセッツ州ケンブリッジに本拠を置くバイオテクノロジー企業・モデルナはこのほど、カーネギーメロン大学と連携し、新しいAIアカデミーの開設を明らかにした。これはモデルナによる社員教育の一環と位置付けられ、同社がAI関連技術を重視する姿勢を如実に示すものとなる。 カーネギーメロン大学が公表したところによると、このプロジェクトは同大学のデータサイエンス学部およびビジネススクールとの協力によって進められるもので、データ品質や可視化、統計モデル、機械学習アルゴリズム、AI倫理などに焦点を当て、社会人向けのカリキュラムとして提供する。モデルナは同社の全従業員が、「それぞれの職務においてAIを活用する手法を戦略的に検討すること」を求めており、AIアカデミーはこれを支援する基盤になるとみられる。 モデルナのStéphane Bancel CEOは「我々は、バイオ医薬品業界では特筆すべきスピード・スケールでmRNA医薬品の開発を進めており、これは社内にデジタル技術を積極的に取り入れてきたことが一因だ」と述べ、社員のAIリテラシー向上を経てさらなる飛躍を狙う。AIアカデミーは、カーネギーメロン大学で開発されたインタラクティブな教育プラットフォームであるIntegrated Statistics Learning Environment(ISLE)を用い、社員と同大学教員を対面およびオンラインで直接繋げることを予定している。 関連記事: 米マウントサイナイ医大 – AIヘルス学部を新たに創設 イリノイ大学 – 「臨床家向け医療AIプログラム」を提供開始 マウントサイナイ医科大学 – 博士課程にヘルスケアAIコースを新設 スタンフォード大学 – 医療AIに関するオンラインプログラムを開始 トロント大学 – 医療AI特化の新しい研究教育拠点をオープン

2年後の認知症診断を正確に予測するAI研究

認知症の早期診断は、患者とその家族にとって早期介入と環境調整の恩恵がある。一方で、認知症の進行に対する恐れ自体にも心理的苦痛を伴うため、後に診断が覆されるような事態も回避すべきである。英エクセター大学のグループは、2年以内の認知症発症を90%以上の精度で予測できるとするAI研究を発表した。 JAMA Network Open誌に発表された研究論文によるとチームは、米国内30のメモリークリニックに通院する15,300名以上の患者データを対象とし、2年以内の認知症発症を予測する機械学習アルゴリズムを開発した。メモリークリニックの対象患者は、調査開始時点では認知症の診断には至らないものの、記憶や脳機能に問題を抱えて通院していた。機械学習モデルの開発においては、データ変数が増えるほどに高い予測精度が期待できるケースが多いが、要測定変数が増えるほどに臨床現場への導入が困難になり、結果の解釈性も損なわれる。本研究では最大258種の変数から予測力の高い6つ(衰えの臨床判断、Trail Making Test Part Bの完了時間、臨床的認知症尺度CDRから3要素、自立度)にまで絞り込み、90%以上の予測精度を得ることができた。さらに本モデルは、既存の2種の認知症発症リスク推定ツールであるCardiovascular Risk Factors, Aging, and Incidence of Dementia (CAIDE)と、Brief Dementia Screening Indicator (BDSI)を上回る正確さを示した。 2005年〜2015年までの調査期間中、対象患者の約10人に1人(1,568名)が2年以内の認知症診断を受けたが、そのうち約8%(130名)については後に認知症の診断が覆された。本研究のモデルは、それら誤って下された認知症診断の80%以上を正確に診断できたため、診断精度向上に貢献する可能性も示されている。エクセター大学のリリースにおいて、研究グループのJanice Ranson氏は「機械学習モデルをメモリークリニックに組み込むことで、診断精度の格段の向上と、誤った診断がもたらす不必要な苦痛を軽減できるだろう」と語っている。 関連記事: 会話音声からAIで認知症診断 – SKテレコムとソウル大学 AIによる認知症予防...

AIは「もっともらしいクリスマスBMJ研究のタイトル」を生成できるか?

世界五大医学誌のひとつBMJは、毎年クリスマスになると普段の権威性や格調を打ち破る「面白論文」の特集号を出版する。例えば2016年は「Gotta catch’em all! Pokémon GO and physical activity among young adults(全部ゲットしろ!ポケモンGOと若年成人の活動性研究)」が公表され、話題を呼んだ。同誌は2021年クリスマス特集号に向けて「AIはもっともらしいクリスマスBMJ研究のタイトルを生成できるか?」というテーマの研究を掲載し、相変わらずのユーモアを発揮している。 BMJのリリースでは、同クリスマスBMJ研究を紹介している。手法としてはGPT-3ベースのAI技術によって、過去10年間のBMJクリスマス号で人気だった論文タイトルを学習し、オリジナルタイトルを自動生成させた。研究者らはAIが生成したタイトルを、科学的メリット・エンターテイメント性・妥当性の観点から採点した。高評価・低評価・実在タイトルに相当する各10本を、無作為抽出で世界各国の医師25名が評価した。その結果、AIが生成したタイトルは、実在のタイトルと比べて「少なくとも楽しめる(at least as enjoyable)」、「魅力的(attractive)」と評価された一方、実在タイトルの方が「よりもっともらしい(more plausible)」と評価された。さらに、AI生成タイトルの方が「科学的・教育的価値が低い(less scientific or educational merit)」と評価されたものの、AIの出力を人間が精選することでその差は有意ではなくなった。 なおAI生成タイトルで特に「もっともらしい」と評価されたのは「咽頭痛に対するペロペロキャンディの臨床的効能」と「観察研究:無償のグルメコーヒーが救急外来の待ち時間に与える影響」であった。最もくだらないタイトルは「Superglue your nipples together and see...

連合学習によるCOVID-19関連研究

ケンブリッジ大学と華中科技大学を中心とする国際研究チームは、連合学習を用いたモデル構築によって、患者データのプライバシーを保護しながら、放射線科医と同等の画像診断精度を提供できるAIモデルを開発した。研究成果はNature Machine Intelligence誌からこのほど公開された。 チームの研究論文によると、英国および中国の23に及ぶ医療機関群、3,300名の患者を対象として9,000枚以上の胸部CT画像からこのAIモデルを構築したという。連合学習(federated learning)では実際にデータを共有することなく、他地域・他国のデータセットを独立して訓練・検証することができる。医学領域では極めて秘匿性の高い個人情報を取り扱うため、特に連合学習の価値が高く見積もられており、近年先端研究に多数取り込まれている。 より優れた一般化AIモデルを導出するためには、異なるエリアの異なる施設から適切な数のデータセットを収集する必要がある。バイアスを軽減しつつ、共同作業環境において各データセンターのプライバシーを保護する取り組みは、今後の医療AI研究の一般的な形となる可能性がある。研究者らは現在、新しく設立された「WHO Hub for Pandemic and Epidemic Intelligence」と協力し、プライバシーを保護するデジタルヘルスケアのフレームワーク発展を狙っている。 関連記事: 「NVIDIA FLARE」オープンソース化 – フェデレーテッドラーニングの推進へ COVID-19の転機を予測するフェデレーテッドラーニング研究 サノフィ – がん領域のAI開発に1億8000万ドルを投資 COVID-19の感染力増大を予測するAIツール

Suki社のAIアシスタント – 家庭医の文書作成負担軽減を米国家庭医学会と共同検証

医療現場における文書作成の事務的負担は、医師の燃え尽き症候群(バーンアウト)を起こす主要な要因となることが各種の研究で示されてきた。先行研究には「医師の約55%が出勤時にバーンアウトを感じている」との報告もある。昨今急速な発展を続けるAIアシスタントには、それら文書作成に対する負担解決への期待が高まっている。 米国家庭医学会(AAFP)は、音声認識AIアシスタントを開発する企業「Suki」との提携で、家庭医の文書作成負担軽減を検証する研究を行ってきた。AAFPの15日付リリースによると、研究のフェーズ2において大幅な負担軽減効果が示されたことを報告している。その成果として、研究に参加した家庭医・プライマリーケア専門医における文書作成時間が、中央値で72%減少したという。また、臨床医1人あたりにして週3.3時間の時間短縮、さらには仕事量と診療に対する満足度の有意な向上が報告されている。報告の詳細についてはホワイトペーパーで公開中である。 Suki社の主力製品「Suki Assistant」は、自然言語処理と機械学習の基盤技術から構成され、文章作成に関わる事務作業時間を平均76%短縮できるという性能を謳ってきた。AAFPとの共同研究は今後フェーズ3に入り、これまでの成果について多くの家庭医の間で認識を高めることに重点を置いていく。医師の働き方を脅かすバーンアウトを回避するため、AIアシスタントの存在感は今後ますます高まっていくだろう。 関連記事: AIで医療現場はもっと生産的になれる – Googleが医療文書用ツール公開 「AIによる臨床記録再構築」が医師の時間を節約する 米Nuanceの医療用音声書き起こしAI – 米最大級医療グループProvidenceと提携 Microsoftの医療AI進出 – Nuanceを197億ドルで買収

Perimeter AI – 乳房温存手術における臨床試験を開始

カナダ・トロントに本拠を置くPerimeter Medical Imaging AIは今春、同社の光干渉断層撮影(OCT)システムが米食品医薬品局(FDA)の510(k)認証をクリアしている(過去記事)。Perimeterは独自AIを実装したOCTシステムによって、乳房温存手術時の陽性マージン率に与える影響を検証するため、多施設での臨床試験をこのほど開始した。 Perimeterが16日明らかにしたところによると、最初の手術症例はテネシー州ジャーマンタウンのMargaret West Comprehensive Breast Centerを拠点とする乳腺外科医、Richard E. Fine医師とMichael Berry医師が担当したという。Fine医師は「乳腺外科の手術室での判断をリアルタイムに支援する検体画像ツールは、アンメット・メディカル・ニーズと言える」と述べ、AIを搭載した同システムによって現在の標準治療よりも優れた成果が示された場合、乳房温存手術時の標本画像技術において新しいスタンダードとなる可能性を指摘している。 乳房温存手術を受けた女性の約15~20%は再手術を必要とするが、これは外科医が明確なマージンを確保できなかったケースなども相当する。光コヒーレンス・トモグラフィーと深層学習アルゴリズムを組み合わせた画期的技術が、患者予後の改善に資することができるか大きな注目を集めている。 関連記事: Perimeter – AI搭載OCTシステムでFDAのBreakthrough Device Designationを取得 Perimeter – 術中に病変微細構造を確認できるOCTシステムでFDA認証を取得 乳がんの取り残しを防ぐAI技術 – Perimeter Medical Imaging...

ヘルスケア幹部の4人に3人が「管理プロセスの自動化でAIを信頼」

OptumによるヘルスケアAIに関する年次調査で、ヘルスケア関連企業の幹部における実に4人に3人が「臨床業務以外の事務処理など、管理プロセスの自動化においてAIを信頼している」事実が明らかにされた。 同社が15日明らかにしたところによると、今回の調査では病院や保険会社、ライフサイエンス企業などに勤務する上級管理職500名を対象としたという。調査から得られた他の主要な知見は下記の通り。1. 回答者の96%が「AIは健康の公平性に資する」とし、94%が同時に「医療においては責任を持ってAIが使用されるようにする義務がある」とする 2. AI関連のパートナーシップについては89%が「AI技術特化企業よりも、データや分析に特化した企業との提携」を望む 3. 実に85%が「AI戦略がある」、48%が「実際にそれを実行している」と回答 4. AIに期待する可能性として41%がバーチャルケア、40%が診断と予後予測の改善、さらに医療画像解釈などが続いた。 「健康増進を見据えたAIに対する熱意」は業界としても十分である一方、組織として導入を進めるには収益性の高いものや、リスクの少ない非臨床領域の効率化が優先される傾向があるなど(過去記事)、まだその活用は黎明期の域を出ない。ただし、ヘルスケアのリーダー達が眺む未来には、確かに「AIの存在」がそこにある。 関連記事: RSNA 2021 – 放射線科におけるAI導入の現状と課題 ヘルスケアAI市場は2027年までに345億ドルに到達 Amazon – ヘルスケア参入までの足取り ヘルスケアにおけるGoogle Cloudの加速

乳がん検出AIと読影医の双方が騙されるサイバー攻撃研究

「医療現場がサイバー攻撃に対して脆弱な可能性」については繰り返し話題となってきた(過去記事)。医療機関に対するサイバー攻撃の目的には、身代金(ランサムウェア)・保険金詐欺・臨床試験改ざんなどが想定される。米ピッツバーグ大学医療センター(UPMC)のチームは「乳がん検出のマンモグラフィ検査用AIに対するサイバー攻撃をシミュレートした研究」をNature Communications誌に発表した。 UPMCのリリースでは、同研究を紹介している。研究チームは、まずマンモグラフィ検査から乳がんを80%以上の精度で検出するAIモデルを開発し、そこに仮想のサイバー攻撃として、偽のがん領域を挿入、あるいは本物のがん領域を削除する「敵対的生成ネットワーク(GAN: Generative Adversarial Network)」プログラムを適用した。その結果AIモデルは、GANによって陰性に見せかけられた44枚の陽性画像のうち42枚を陰性と分類し、一方で陽性に見せかけられた319枚の陰性画像のうち209枚を陽性と分類した。すなわち69.1%の偽装画像にAIモデルが騙されたこととなる。さらに、この偽装画像を5名の放射線科医に本物か偽物か見分けるよう依頼したところ、画像の真偽の識別精度は29〜71%であった。 著者のShandong Wu博士は、「AIを騙す偽装画像には、読影医なら簡単に見分けられるものもある。しかし今回の研究では、GANによる偽装画像の多くがモデルだけではなく経験豊富な人間の読影医も欺いてしまった」と語る。研究のさらなる目的には、AIモデルをサイバー攻撃に対して強固にする方法を開発する狙いがある。チームは「adversarial training(敵対的トレーニング)」と呼ばれる手法によって、敵対的に生成された画像が操作されていることをモデルに教え込むことで、問題の解決を目指しているという。 関連記事: 医療現場はサイバーアタックの脅威が増していく サイバー攻撃によって50万人の患者情報が流出 医師は「サイバー攻撃のリスク」を患者に伝える必要はあるのか? 医療AI研究を守るのもまたAI – メリーランド大学のサイバーセキュリティ技術提携

ニューヨーク市保健局 – 「臨床アルゴリズムにおける人種差別をなくすための連合」を設立

人種間での生物学的特性の差を考慮して、各種の臨床アルゴリズムでは「race adjustment(人種調整)」が行われている。しかし、その生物学的特性の差を単に人種だけを理由にすることには、ツールの誤った利用につながる危険や、人種差別助長への危惧がある。 米ニューヨーク市保健局はプレスリリースにおいて、「臨床アルゴリズムにおける人種差別をなくすための連合(CERCA: Coalition to End Racism in Clinical Algorithms)」という組織の結成を発表している。CERCAは人種だけで説明がつくとはいえない不当なアルゴリズム調整の撤廃を訴える。その一例として「黒人患者の腎機能に関する人種調整」では、検査で同じ測定値の場合、黒人患者の腎機能が白人患者よりも健康とみなされ、必要な治療の遅れにつながる可能性がある。また別の例として、「妊婦に関する人種調整」では、白人女性と同程度の年齢・健康状態・出産歴であっても、黒人またはラテン系アメリカ人の妊婦では過剰な帝王切開を受ける可能性が有意に高かった。ニューヨーク市とCERCAは、そのような臨床アルゴリズムの不当な適用による人種差別に取り組み、健康格差の是正を主導していくという。 この状況における「臨床アルゴリズム」は、昨今のAI/機械学習で構築される「アルゴリズム」とは文脈が異なることには注意が必要だ。旧来の比較的精度の低い疫学的調査結果に基づいた人種調整が、アップデートされることなく画一的・盲目的に使用し続けられていることなどに課題の本質がある。もちろん、これまで紹介してきた「AIアルゴリズムに人種間のバイアスが入り込む」という別の問題も根強い。人種をめぐる医療の課題に対しては、すべての関係者が注視して挑戦し続けなければならないだろう。 関連記事: 「臨床試験への参加が乏しい集団が存在すること」について 大規模バイオデータバンクに入り込むバイアス 人種バイアスは除去できるか? – 網膜血管から人種を識別するAI 医療画像から人種を読み取るAI MIT「Mirai」 – 多様な人種背景で同等に機能する乳がん発症予測AI

AdaのAIソリューションがブラジルで医療機器承認を取得

グローバルデジタルヘルス企業のAda Healthは14日、AIを活用した症状評価およびケアナビゲーションプラットフォームについて、ブラジルでのクラスII医療機器承認を取得したことを明らかにした。これによりAdaは、ブラジルにおいて最初のAI駆動型デジタルヘルスプラットフォームを展開することとなる。 同社の公表によると、このAIソリューションは既存のヘルスジャーニーに組み込むことで、患者ケアの質と有効性を向上させ、医療従事者の業務プロセスを合理化させることができるという。2億人以上の人口を有するブラジルは世界有数のヘルスケア市場として捉えられており、北米企業を中心として市場展開を狙う動きが加速していた。Adaは近年の急速な成長により、米国・フランス・ポルトガル・エジプト・サウジアラビアなどの主要組織とパートナーシップを締結し、グローバルでのサービス展開を続けている。 Adaの共同創業者・CEOであるDaniel Nathrath氏は「我々の目標は、世界10億人のヘルスケアを向上させることだ。そのためには、我々のソリューションで最高レベルの医療品質・安全性・正確性を提供できることを実証する必要がある。大規模なヘルスケア市場のそれぞれで、最も野心的な規制要件を満たし、さらに顧客の期待を上回ることを約束する」と述べ、ブラジルの規制当局であるANVISA(Agência Nacional de Vigilância Sanitária)の厳格な基準をクリアしたことに大きな自信を示している。 関連記事: VUNO – 心停止予測AIで規制当局の承認を取得 Canon – 画像再構成ディープラーニング技術「AiCE」の米FDA承認拡大 ClearUPのFDA承認 – 微弱電流で鼻詰まりを解消する小型デバイス 米FDA承認のデジタル聴診器「Feelix」- Sonavi Labs社 FDA – 医療機器ソフトウェアへの新しい指針案を公表

有害な治療選択を回避させるAIシステム

医師向けの倫理的な格言として、「Do No Harm(まずは患者に害を与えないこと)」という言葉が繰り返し伝えられてきた。米マサチューセッツ工科大学(MIT)のコンピュータ科学・人工知能研究所(CSAIL)では、「患者に害をもたらす可能性のある医療処置に機械学習システムでフラグを立てる」研究が行われている。 12月6〜14日まで開催の学術会議 Conference on Neural Information Processing Systemsで発表された同研究では、「敗血症患者の集中治療において、患者の死につながる可能性のあるリスクの高い治療法を特定する機械学習モデル」が開発された(全文はarXiv参照)。敗血症では迅速な介入が救命につながるが、最適な治療法選択は難しいことでもあり、一例として重症敗血症の初期段階で大量の輸液が行われると患者の死亡リスクが高まることが指摘されている。CSAILの研究者らが開発したモデルを、敗血症患者のデータセットに適用したところ、死亡した患者に行われた治療の約12%が有害であったことが示された。また、死亡した患者の約3%はその48時間前までに医療的な死の淵(dead-end)に立たされていたことも明らかになった。DeD(Dead-end Discovery)と呼ばれる同システムでは、選択された治療法が入力されると医学的に行き詰まる可能性が評価され、死が懸念される領域に入っている際は「yellow flag(黄色い旗)」、回復しない可能性が非常に高い状況には「red flag(赤い旗)」が立てられる。システムには2つのニューラルネットワークが実装されており、1つ目は患者死亡というネガティブな結果のみに着目、2つ目は患者生存というポジティブな結果のみに着目している。これらにより、リスクを伴う治療法を効果的に検出し確認することが可能になったという。 MITのニュースリリース内で、研究グループのTaylor Killian氏は「どんな決断をしても患者が死に向かってしまうような道を進んでしまうことを"医学的なデッドエンド"と定義し、選択した治療法が患者をデッドエンドに追いやる可能性を減少させるというアイデアが本研究の核心である。本研究で確認した最適ではない治療が選ばれる約12%という数字は、世界中で敗血症を罹患する患者の数を考えると、かなり大きな数字だ。このモデルは医師を支援するもので、代替するものではない。私たちはシステムによって適切なガードレールを追加することができる」と語っている。 関連記事: 敗血症予測の適時性と精度を大幅に向上させるAI研究 著名な敗血症予測ツールの「精度が低いこと」を研究者らが指摘 血液感染の重症化を識別するAI技術

損傷部位の運動機能を取り戻す「注射用ハイドロゲル」

カナダ・モントリオールに本拠を置くマギル大学の研究チームは、心臓や筋肉、声帯など"頻繁に動く組織"と融合して損傷を修復し、運動機能を回復させることのできる注射用ハイドロゲルを開発した。研究成果はAdvanced Science誌から公表されている。 本研究論文によると、独自開発によって得られたこのハイドロゲルは、細胞の成長・拡散・増殖に適していることが明らかにされており、動的な生体負荷を受けても細胞の生存率と機能を維持することができ、その構造は完全性を維持していたとする。著者らは「このハイドロゲルは細胞培養のための灌流マイクロフルイディクスや、声帯を模した灌流バイオリアクターに使用できる可能性が高いことが示された」と述べる。 これまで動的組織に十分に対応する注入素材は無かったため、研究成果と今後の展開には期待が大きい。研究チームは喉頭がん患者など、「声帯損傷を受けた人々の声を回復させるためのインプラント材」として使用されることに大いなる可能性を見込んでいる。 関連記事: 「3D印刷された皮膚」が創傷治癒を加速する コーネル大学 – ゾウリムシサイズの極小ロボットを「歩かせる」ことに成功 X線データから3D画像を再構築する深層学習技術 医療×コンピュータビジョン – 旧式の医療機器からウェブカメラでデータ抽出

新AIスタートアップ・Harbinger Health – 5000万ドルの投資に加え前FDA長官がCEOに就任

米マサチューセッツ州ケンブリッジを拠点とするライフサイエンス系のベンチャーキャピタルであるFlagship Pioneering社はこのほど、AI技術を血液検査に適用する新しいスタートアップ・Harbinger Health社の立ち上げを発表した。Flagship Pioneeringからの初期コミットメントは5000万ドル(約56.7億円)に及ぶ。 同社が先週明らかにしたところによると、Harbinger Healthは独自開発のプラットフォームを活用し、高度なAIアルゴリズムによって血液検査からの迅速な悪性腫同定を実現させようとする。また、Harbinger Healthは医師のStephen Hahn氏をCEOに任命している。同氏は放射線腫瘍医としてMDアンダーソンがんセンターの最高医療責任者であったほか、ドナルド・トランプ大統領の下では米国食品医薬品局(FDA)の長官を務めた経歴を持つ。Hahn氏は、Flagship Pioneering社のCEO-パートナーへも同時に就任することが公表されている。 準備書面のなかでHahn氏は「我々はがんに対するアプローチを再定義し、がんの"ステージング"を超えて、がん診断と治療を可能にする早期発見手法の確立を目指しており、最終的にはがん罹患率と死亡率を効果的に低減する態勢を整えている」とする。さらに同社プラットフォームは、一部の高機能病院にのみ導入される種のものではなく、あらゆる人々に技術の恩恵が届くようにすることも主たる目標として掲げる。共同創業者でFlagship PioneeringのマネジングパートナーであるDoug Cole氏は「純粋な統計学的アプローチとは異なり、我々のアプローチは、がん発生初期に起こる特定の生物学的事象に関する洞察に基づく」とし、技術の優位性を強調している。 関連記事: Fast Company – ヘルスケア・イノベーション企業トップ10 ヘルスケアを革新する5つのヘルステックスタートアップ メンタルヘルスケアにAIを用いるスタートアップ5選 Forbes AI 50 – 2021年注目すべきAI企業トップ50 2021年最新「世界の有望AIスタートアップ Top 100」

欧州心臓病学会 EuroEcho 2021より – 10年以内死亡を心臓MRIで予測するAIスコア研究

心血管疾患患者のリスクを層別化する試みとして、これまで様々なスコアリングシステム(Systematic Coronary Risk Evaluation 、、Framingham Risk Score など)が確立されてきた。それら既存スコアを上回る正確さを持つ「心疾患患者における10年以内の死亡可能性を予測するAIスコア」が、欧州心臓病学会(ESC)の学術会議EuroEcho 2021で発表された。 ESCの11日付プレスリリースによると、米ジョンズホプキンス病院の研究グループから発表された新しい予測スコアは、従来手法と異なり、薬剤負荷心臓MRI(ストレスCMR)で測定した画像情報が含まれている。ストレスCMRは、患者に対して運動による心臓へのストレスを模した薬剤を投与しながら、心臓のMRIを撮像する検査手法となる。2008〜2018年の間に、心血管疾患疑いあるいは高リスクという理由でストレスCMR検査を受けた31,752名の患者を対象として、CMR検査結果から11のパラメーター、および23の一般的臨床パラメーターが収集され、中央値として6年間に渡る患者フォローアップが実施された。また、観察期間中には2,679名(8.4%)の患者が死亡している。収集データから機械学習アルゴリズムを構築し、患者が10年以内に死亡するリスクを0(低リスク)〜10(高リスク)で示した。結果として、スコアは76%の精度で患者死亡を予測することができており、これは従来の確立されたリスク層別化スコアよりも有意に高い予測性能を示していた(SCORE = 0.66、QRISK3 = 0.64、FRS = 0.63)。 本研究成果はEuroEcho 2021のセッション「Young Investigator Award - Clinical Science」で発表された。著者のTheo Pezel氏は「今回の結果から、胸痛・呼吸困難・心血管疾患危険因子を持つ患者は、ストレスCMR検査を受けてスコアを算出すべきと考えられた。リスク層別化との関係が不明な臨床情報でも、機械学習による多変数の同時解析によって、私たちが気付かなかった関連性を見つけることができる。リスク予測を改善することで、重点的なフォローアップや運動・食事などのアドバイスを、最も必要としている患者に届けられるだろう」と述べている。 関連記事: C-Score –...

「3D印刷された皮膚」が創傷治癒を加速する

英国バーミンガム大学の研究チームは、3Dプリンティングによって構築した人工皮膚が創傷治癒を早め、瘢痕を減らすことができることを実証した。研究成果はAPL Bioengineeringのオンライン版で公開されている。 チームの研究論文によると、表皮から真皮、その下の脂肪層(真皮下層)までに渡り、損傷した組織と素早く融合することのできる人工皮膚を開発した。特徴的となるのは、3層構造の全てに灌流する化学的特性を持つバイオインクを利用し、3Dプリンティング技術によって最適なインプラント材として実現したこと。研究チームによるこの人工皮膚の臨床試験では、移植後少なくとも3週間は生体における皮膚の治癒を模倣していることを確認した。特に興味深いことに、移植後わずか7日目に試験物質が実際の皮膚と一体化し、「脂肪組織が周囲の組織から構造物自体に動員された」ことも認めており、これを著者らは驚きをもって報告している。 チームは「このインプラントは筋膜から皮膚表面に向かって治癒を促進することができ、重篤な創傷の治癒における鍵となるメカニズムを有する」とする。研究チームはさらに長い試験期間を追加的に設定し、慢性経過をたどる深い傷にも効果があるか、さらなる検証を計画している。 関連記事: 慢性創傷の治癒を予測するAIモデル AIによる褥瘡予測 AIとバイオスキャフォールド – 創傷治癒を加速させる先進技術 米オークリッジ国立研究所 – 3Dプリンティングの品質評価を行うAIソフトウェア 生物医学分野における3Dプリンティングのトレンド

眼圧を家庭用ヘッドセットで非接触測定するAIデバイス

緑内障は世界で約8000万人の患者数と試算され、主要な失明原因として知られる。緑内障のモニタリングに重要な役割を果たす眼圧測定検査は、病院での測定機会が数ヶ月ごとに限定されることや、家庭用測定機器は侵襲的で信頼性に欠けるという課題があった。イスラエルのスタートアップ・Ophthalmic Sciences社は、AI利用のVRタイプヘッドセットで眼圧を非接触測定する機器「IOPerfect」を発表している。 Ophthalmic Sciencesのリリースによると、IOPerfectは患者が自宅で安全に装着できるヘッドセットタイプの検査機器で、目薬やキャリブレーションを必要としない。また、角膜の厚さにも影響されず、2分以内の検査時間で眼圧を測定できるとする。その仕組みは、ヘッドセット内で穏やかに制御された陰圧を眼球にかけることで、虹彩と強膜の血管脈動をAIが画像処理する。眼圧の影響を受ける虹彩の血管と、影響を受けにくい強膜の血管とで、2種類の脈動グラフが得られ、その差を解析することで眼圧を導出するというもの。 IOPerfectは完全非接触型の眼圧計として類を見ないユニークなものである。プローブを眼球に接触させたり気流をあてるなどする従来機器に比べ、より使いやすく、かつ非侵襲的で利用者に制限がかかりにくい。Ophthalmic Sciences社は規制当局への承認手続きを開始しており、2023年に米国と欧州でIOPerfectの販売を開始する予定とのこと。同社CEOのAriel Weinstein氏は「最も重要なこととして、この1年で遠隔診断の価値が証明され、これによって臨床医や投資家から我々のデバイスが大きな注目を集めることとなった」と語っている。 関連記事: 緑内障の10秒スクリーニングを目指すAI研究 AIによる緑内障の高感度スクリーニング 緑内障の遺伝的リスク予測モデルの構築 レビュー論文 – 緑内障の診断・進行予測へのAI活用

血液感染の重症化を識別するAI技術

イスラエルの一大研究拠点となっているテルアビブ大学の研究チームはこのほど、血液感染の結果、深刻な状況に陥るリスクの高い患者を識別するAIアルゴリズムを構築した。研究成果はScientific Reports誌に掲載されている。なお、本成果は同大学の技術移転先企業であるRamot社により、グローバルでの特許申請が進められている。 チームの研究論文によると、このAIアルゴリズムは、テルアビブに所在するイチロフ病院において「血液感染が陽性であった8,000名」の電子カルテデータによってトレーニングされた。患者基本属性の他、血液検査結果、病歴、診断名などの各種臨床変数に基づき、アルゴリズムは82%の精度で重症化を予測し、特に重要となる危険因子を特定して警告することができる。通常血液系は無菌状態にあるが、手術や他感染症の合併症として血液感染を引き起こすことがある。血液感染は血液培養によって明らかにされるが、リスク過小評価による治療導入の遅れは深刻な転帰を迎え得るため、システムによるリアルタイムモニタリングと危険因子の早期コントロール実現には期待が大きい。 著者らはまた、「AIアルゴリズムは"既知でない"血液検査パターンに重症化リスクを見出した」としており、研究過程で導かれた新たなパラメータがリスク評価指標としての価値を示す可能性にも言及している。 関連記事: 敗血症予測の適時性と精度を大幅に向上させるAI研究 著名な敗血症予測ツールの「精度が低いこと」を研究者らが指摘 AIは院内の敗血症を防ぐことができるか? 血算から妊産婦の菌血症を予測する機械学習アルゴリズム

大規模バイオデータバンクに入り込むバイアス

医療データをAIツールなどの個別化医療技術に適用する際、データの偏りによる意図しない影響については繰り返し報じてきた(過去記事)。ツールの精度と適切な一般化可能性を確保するため、いかにして多様な患者集団からデータを収集していくか、各機関での取り組みが続く。 米ミシガン大学のリリースでは、「大規模バイオデータバンク構築の適正化」を調査した研究を紹介している。本研究成果はHealth Affairs誌の12月号に発表された。ミシガン大学の学術医療センターにおいて、手術を待機する患者に対して、「ミシガン・ゲノミクス・イニシアチブ」という研究用バイオバンクへ少量の血液を提供する研究参加が募集された。その登録患者の多様性に、募集と登録のアプローチがどう影響しているかが調査された。その結果、同センターにおける全患者集団と比較して、データバンク登録に同意した患者層は、年齢・性別・人種・民族・社会経済的因子の面で多様性が著しく欠如していることが明らかにされた。具体的には、手術待機患者の平均的な年齢よりも若く、黒人・アフリカ系アメリカ人・アジア系・ヒスパニック系の参加割合が乏しかったという。 データバンクの多様性は「どの患者が登録に同意するか」よりも「どの患者が募集に適するか」という面に大きな影響を受けてしまう、と研究チームは考察する。論文著者で、ミシガン大学医学部の研究倫理学者Kayte Spector-Bagdady氏は「大規模な研究データセットが米国内の患者多様性を反映しないことが多いのは分かっていたことだが、このような格差がどう根付いていくか今回の研究では詳細に分析した」と語っている。 関連記事: 「臨床試験への参加が乏しい集団が存在すること」について 人種バイアスは除去できるか? – 網膜血管から人種を識別するAI バイアスを含むAIが人類の希望となる可能性について 肌色が濃い人々の皮膚画像データが不足 – Lancet誌 AIと嘘つき教師 – 著名な公開データに多数のラベルエラー

台湾医療科技展より – AIベースのシャント狭窄検出装置

透析患者の血液アクセス用シャントが狭窄・閉塞するトラブルは日常的なものだが、それに対するチェック体制は、検査の煩雑さなどを理由に不十分となりがちである。2021年12月2日〜5日まで台湾で開催されたAPAC地域最大級の展示会「台湾医療科技展」では、台北医学大学と台北市立萬芳病院が米Above Care社と共同開発した「AIベースの非侵襲的なシャント狭窄検出装置」が発表された。 開発されたシステムは、皮膚に装着する小型パッチデバイスからシャント血流音を録音し、クラウドプラットフォーム上にアップロードされたデータをAIが自動解析し、狭窄などのシャントトラブルを検出するもの。約20秒の検査プロセスで、診断の正確性は約90%としている。また、血流音から「シャントの状態変化」を予測する拡張機能も備えるという。 台湾における透析患者数、特に有病率は世界的にトップクラスであることは以前の記事でも紹介した(過去記事)。台湾全体で約12%の国民に慢性腎臓病がみられ、10万人規模の透析患者がいるなか、本デバイスのような簡便で利用しやすいポイントオブケア検査(POCT: Point-of-Care Testing)への需要は高い。台湾医療科技展の展示内容からは、同国で成長著しいデジタルヘルス領域の将来性が感じられる。 関連記事: 慢性腎臓病(CKD)の重要リスク因子に「教育水準」 AIは腎臓病と透析導入を予防できるか? 慢性腎臓病(CKD)のスクリーニングは自宅のスマホで – 英NHSX Fast Company – ヘルスケア・イノベーション企業トップ10 病理画像から腎臓の線維化を評価するAI研究

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