医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例心電図AI解析が生理的年齢と長生きを予測する

心電図AI解析が生理的年齢と長生きを予測する

単なる時間経過を示す実年齢と異なり、個人差のある老化や基礎疾患を反映した健康状態の指標となる「生理的年齢」という考え方がある。米メイヨークリニックの研究グループが心電図から生理的年齢をAIアルゴリズムで評価するプロジェクトを以前に紹介した(過去記事)。

メイヨークリニックのニュースリリースによると、その研究をさらに進めた最新の成果が学術誌 European Heart Journal – Digital Healthに発表されている。25,000人以上の被験者で12誘導心電図データをAIモデルで解析したところ、「心電図年齢」はほとんどの被験者の実年齢との誤差(Age-Gap)で平均 0.88歳と正確に予測できていた。一方で、Age-Gapが1SD以上実年齢よりプラスに乖離していた患者は、全死亡率と心血管疾患死亡率が有意に高かった。

この結果は、「AIによる心電図解析が個別の加齢を検出する」という従来の研究グループの見解をさらに拡張させたものとなった。AI解析手法の隆盛によって、心電図に含まれる豊富で貴重な情報の利用はさらに進んでいく。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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