Optellum – 肺がん検出・管理のためのAIプラットフォーム

Optellumは肺がん検出のためのAIシステム開発で知られ、同社のVirtual Nodule Clinic(VNC)はNHS AI Labが提供する「AI in Health and Care Award」に採択されている。肺がんの早期検出と早期治療介入による生存率向上は、臨床現場および患者らの切なる願いとして大きな期待を集める。

VNCは既に米国食品医薬品局(FDA)による承認を受けており、2021年中の欧州CEマーク取得を目指している。これによりNHSトラストでの展開も可能となる。Optellumのテクノロジーはオックスフォード大学病院を含む10のNHS病院と提携して開発され、これら医療機関における臨床的な検証が続けられている。Optellumは世界最大規模のCTスキャンデータベースを構築しており、これに基づく肺がん検出システムは画像解析AIとして高い識別精度を誇る。また、同社プラットフォームでは全ての放射線科レポートが自動スキャンされ、偶発的な肺結節影の検出も特定する。リスクごとに層別された症例は、要フォローアップ患者として臨床医向けダッシュボードに強調表示することで、見逃しを防ぐセーフティネットとしての重要な機能も期待される。

米国では年間200万件の偶発的な肺結節の検出があるとされるが、これらの60%については診断・治療がなされておらず、多くは本人への通知もないという(参照論文)。喫緊の医療課題に対して、Optellumの果たす役割に注目が集まっている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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