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WHO研究 – メンタルヘルスにおけるAI応用と課題

2021年段階で、欧州地域では1.5億人以上がメンタルの問題を抱えながら生活していたが、その後のCOVID-19流行や紛争などを経て状況は劣悪化し、メンタルヘルスがいかに脆弱であるかを示した。2022年9月の「Regional digital health action plan for the WHO European Region 2023–2030(WHO欧州地域デジタルヘルス行動計画2023-2030)」でも、ビッグデータとAIによる「健康増進のための予測分析の革新」が必要であると認識されており、特にメンタルヘルスは主要ターゲットの1つとして捉えられている。

WHOは6日、スペインのバレンシア工科大学との共同研究により、メンタルヘルスへのAI活用の方法論と品質に関する系統的レビューをまとめ、JMIR Mental Healthから公開したことを明らかにした。主要な知見として、メンタルヘルス領域のAIアプリケーション活用がアンバランスであり、うつ病など特定の疾患を対象としているものがほとんどであること、メンタルヘルス研究に対しては、AIは治療の質評価のほか、患者集団のサブグループ・クラスター化など、層別化に主に利用されていたこと、などを示している。また、品質評価においては、AIの適用過程とデータの前処理パイプラインに重要な欠陥があることを明らかにしており、調査対象研究の3分の1は前処理やデータ準備に関する報告が無かった。5分の1は、事前に適合性を評価することなく、いくつかの方法を比較してモデルを開発しており、外部検証を報告している割合もわずかであった。さらに、データや開発されたモデルの多くは非公開であり、透明性や国際協力などは「逸話的である」と評している。

著者の1人であるバレンシア工科大学のAntonio Martinez-Millana氏は「AIは、来るべきデジタル革命の基礎となるものだ」とした上で、本研究が明らかにした課題への取り組みが、次世代の良質なメンタルヘルスサービスを形作る可能性を強調している。

参照論文:

Methodological and Quality Flaws in the Use of Artificial Intelligence in Mental Health Research: Systematic Review

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