Digital Health Now 2019 – イスラエル最大級のデジタルヘルス会議

イスラエルはAI関連のスタートアップ・ベンチャーを数多く輩出して存在感を強めている。特にAI画像診断ツール開発のAidocとZebra Medical Visionは筆頭である(過去記事)。テルアビブで11月27日に開催されたイスラエル最大級のデジタルヘルス会議「Digital Health Now 2019」でも話題の中心は常にAIであった。 中国メディア新華通訊社はDigital Health Now 2019について報じ、同会議を主催するコミュニティHealthILとそこに集う新興企業・ハイテク企業・医療機関の概況を紹介している。スタートアップの例として、Selfit Medicalは自宅や診療所でリハビリテーションを支援促進するロボットを開発している。SelfitはAR(拡張現実)ベースのシステムで患者の回復プロセスを解析し、個別化されたリハビリプログラムを提供する。その他のスタートアップとして、Right Hearは視覚障害者向けに設計された屋内外さまざまなエリアで音声ベースの正確なナビゲーションシステムを開発している。 Digital Health Now 2019の参加者でマイクロソフト社のhealth and life sciences部門のシニアディレクターElena Bonfiglioli氏は「機械と臨床医の間で強化されたパートナーシップの未来が見えました。そこでは臨床医の意思決定を支援するためにAIが存在します」と語った。

LIFESTYLE

TECHNOLOGY

LATEST NEWS

がん患者の健康状態をモニターするゲーミフィケーションアプリ

ゲーミフィケーションは、ゲーム要素を取り入れることでユーザーの行動変容やパフォーマンス向上を狙うもの。近年では医療分野においても発展の余地が模索されている。スペインのコンプルテンセ大学とサラゴサ大学の共同研究チームは、がん患者における心身の健康度モニタリングへのゲーミフィケーション応用に努めている。 Journal of Healthcare Engineeringに掲載されたチームの研究論文によると、Close2Uと名付けられたこのアプリケーションでは、がん患者に対して気分や疼痛部位に関する一連の質問に答えさせ、モチベーション向上を狙ったアドバイスや歌などが報酬として与えられるゲーミフィケーション機能がテストされている。疼痛の強弱測定においては「非常にひどい」と「非常に良い」を結ぶ直線上をマークする、疼痛部位の測定においては身体画像に該当領域をマークするなど、視覚的なスケーリングを取り込みゲーム性を高めている。また、患者間の報酬交換機能も備え、コミュニティにおける緩やかなコミュニケーションも実現する。 EurekAlertの取材に対し、研究を率いたGarcía Magariño氏は「このアプリにより、楽しみながら適切な健康モニタリングと相互支援を提供することができる。ただし、私たちのリソースと潜在的なユーザーの関心が重要であるため、いつ製品化されるかは分からない」とする。一方でスマート家電やスマートウォッチなどのデバイスに搭載することを計画するなど、野心的な一面ものぞかせている。

歯科のAI導入を促進する団体「DAIC: Dental AI Council(歯科AI協議会)」

歯科医療におけるAIの可能性を探り検証することで、AI導入を加速する目的の団体「DAIC: Dental AI Council(歯科AI協議会)」が米国において発足された。 歯科業界メディア DentistryIQに28日付で発表されたプレスリリースによると、DAICの設立メンバーは開業歯科医院・歯科業務支援組織(DSO)・メーカー・ソフトウェアプロバイダー・保険会社・研究所・大学などに所属し、歯科業界を代表する15名が集結した。DAICは、歯科業界がAIの活用に遅れをとっているという認識のもと、AIに対する懐疑的な見方や誤解を、正しい理解へと主導する役割を果たそうとしている。 AIによる歯科領域への直接的な恩恵である画像診断AIの一例を以前にも紹介した(過去記事)。DAICはその他にも診療計画・補綴物製作・審美歯科・保険請求などあらゆる面への活用を想定する。特に保険請求では過重な審査業務にもかかわらず不正請求が多数紛れこみ、無駄なコストは顧客に転嫁されている。その矛盾をAIが解消することで保険料が安くなり、歯科医療を求める人が増える。そのような業界全体が受ける恩恵をDAICは模索し提案していく。

ディープラーニングで変わる麻酔管理

全身麻酔で静脈注射されるプロポフォールの制御方法がディープラーニングによって変わろうとしている。現在主流のプロポフォール麻酔を制御する手法 Target controlled infusion(TIC)で血中濃度の目標を適切に維持するには、麻酔科医の専門的判断を要してきた。適切な麻酔レベルを自動制御できる次世代の手法の探究が進められている。 本年開催の International Conference on Artificial Intelligence in MedicineでMITのグループから発表された研究では、プロポフォール投与を管理するためのニューラルネットワークが開発された。論文の全文はプレプリント版としてarXivに公開中である。同研究では深層強化学習(Deep Reinforcement Learning: DRL)によって適切なプロポフォール麻酔深度が仮想環境で訓練された。 開発されたアルゴリズムは、標準となる自動制御手法のひとつであるPID制御の性能を有意に上回る結果を示した。同研究は、実患者で試行されていない仮想環境内の結果であり、承認を受けた臨床試験に進む必要がある。しかし、将来的には従来の機械制御にとって代わり、理想的な麻酔量をさらに洗練させる可能性を秘めているだろう。

STAY CONNECTED

229,514ファンいいね
68,284フォロワーフォロー
32,600購読者購読

POPULAR ARTICLES

子どもの肺音を自動分析 – 過剰受診を減らすAI技術

子どもの体調不良において、病院受診のタイミングは非常に難しく、子を持つ親の共通の悩みと言える。ポーランドのStethoMe社は、聴診器型デバイスを使うことで子どもの肺音を家庭で記録でき、独自AIアルゴリズムが呼吸器疾患とその重症度を識別する画期的なシステムを開発している。 Medgadgetが報じたところによると、同社のシステムでは、家庭で録音された肺音データをかかりつけの小児科医とリアルタイムで共有することができるという。医師は肺音データとアルゴリズムによる解析結果を参考にして、患児が一般外来受診をすべきか、救急外来受診をすべきか、あるいは家庭で様子をみることができるのかを判断する。 日本においても時間外を含め、過剰な外来受診はしばしば問題となる。一方で受診判断の拠り所は、その大半を一般感覚とインターネットによる情報に依存しており、受診前に適切な医学的アドバイスを得られる状況は限られている。患者・医療者双方に利益を与え、医療資源の効率運用と小児健康増進の両立を目指す同技術の今後には、各方面から大きな期待が集まっている。

人工知能とロボットによる教育委員会が北京で設立

11月25日、北京で行われた中国教育発展戦略学会において、人工知能とロボットによる教育委員会が設立された。同学会の執行長・孫霄兵(ソン・シャオビン)が大会に出席し、授牌式を行った。中国全国学校体育連盟ロボット委員会執行長の何晨光(ホー・チェングアン)教授や北京技術大学校長の楊仁樹(ヤン・レンシュウ)教授を含め、300人近くの関連者が出席した。 中国メディア人民網によると、この委員会の設立の目的は、人工知能とロボット産業を教育界でも推進することだという。理事長の張欣欣(チョウ・シンシン)は、同委員会に2つの計画があることを発表した。まず一つめは、中国人工知能とロボットが教育に貢献するための白書の作成で、これに基づき、教材の開発や先生のトレーニングを実施する見込みだという。次に人工知能とロボットによる教育評価システムを開発し、教育成果や教育計画、技術の認定など、今までマニュアルで処理していた業務を人工知能の力で行う。これにより、教育現場の負担を軽減し、業務の精度を高めることが狙いだという。 2017年7月、中国国務院は「新時代の人工知能発展計画」を発表し、「2030年までに中国の人工知能の理論・技術・応用をすべて世界のトップレベルまで到達させる」という目標を掲げている。この目標を達成するためには、人材の育成が欠かせない。今回の教育委員会の設立も、このために行われたものであると考えられる。

非機能性下垂体腺腫の術後再発を予測する機械学習手法

下垂体腺腫は脳下垂体部に発生する脳腫瘍の一種だが、そのうち非機能性下垂体腺腫(NFPA)はホルモンの産生・分泌がみられないものを指す。一方で、そのサイズが大きくなると周囲組織の圧排により臨床症状をきたすようになるが、このNFPAでは「明らかな術後再発因子が特定できていないこと」が問題となってきた。 ブラジル・サンパウロに所在する州立大学、サンパウロ大学の研究チームは、頭部MRI画像への機械学習モデルの適用により、術前画像から手術後のNFPA再発を予測するアルゴリズムを導出した。対象としたのはNFPA患者27名で、うち10名が術後再発を経験しており、画像データを含む各種臨床データをレトロスペクティブに解析した。3D画像ベースのモデルにおいては最大96.3%の正確度を達成し、NFPA予測における3Dラジオミクスの有用性を強調する。 NFPAに対する初回の外科手術後5年間において、12-66%の患者に再発がみられるとされ、正確な術後再発予測モデルの確立は疾患マネジメントの観点からも強く求められてきた。研究チームは対象集団を拡張し、有効性の検証を続けていく。なお、本研究成果はComputers in Biology and Medicineに収載される。

LATEST REVIEWS

急成長する糖尿病管理AI – 北米マーケットが先導

市場調査を手がける米MarketResearch.bizは、近年急成長がみられる糖尿病管理AIに関するトレンド分析、2027年までの成長予測などをまとめたレポートを公表した。 同社がこのほど公開したレポート"Global Artificial Intelligence in Diabetes Management Market Analysis Trends, Applications, Analysis, Growth, and Forecast to 2027"では、同領域のキープレーヤーやサプライチェーン、技術革新と主要な製品に対する分析など多岐に渡る情報をカバーする。特に地域分析によると、糖尿病管理AIに関しては北米市場が現在の最大勢力であるが、この優位性は引き続き保たれることを予想する。その理由として、発達したインターネットインフラや医療セクターへの政府支出の増加、主要企業の存在などが挙げられる。 糖尿病管理AIとしては、日々の血糖測定・管理を向上させるウェアラブルデバイスや、インスリン投与量をAIによって最適化するアプローチなどが多数示されるようになった。近年では、心電図波形から低血糖イベントを検出するなど(過去記事)、ヘルスケアにおけるAIの台頭は糖尿病管理を全く新しいものへと変容させようとしている。