中国 Infervision – 新型コロナウイルス肺炎のAI画像診断機能を追加

中国武漢を震源とする新型コロナウイルス肺炎(COVID-19)の流行は、前線の画像診断部門にも多大なプレッシャーをかけている。肺炎患者の選別のためCTが撮影されると、診断結果の読影待ちのため更なる待ち時間が患者に生じ、待機場所で留められることでの二次感染も危惧される。診断速度の改善のため、中国発のAIスタートアップInfervisionは自社のソフトウェアに新型肺炎の診断機能を追加した。 放射線医学関連メディアImaging Technology Newsからのリリースによると、Infervisionが新しく追加した機能は「Coronavirus artificial intelligence solution」と呼ばれる。新型肺炎の最前線での診断用に調整され、肺炎部位を特定し診断プロセスの短縮と負担軽減を図る。武漢の華中科技大学同済医学院附属同済医院など流行の中心地に導入済みという。 限られた医療資源を支援するのは、感染流行の前からInfervisionが掲げていた理念と一致する。流行と戦う臨床医および各国の取り組みをサポートすることに全力を尽くし「最も基礎的なニーズに応えるため、最先端のテクノロジーを用いる」と同社は表明している。Infervisionの概要と日本支社インタビューについてはThe Medical AI Times内の過去記事も参照いただきたい。

UAE – AIによる自動メディカルチェックを実用化

アラブ首長国連邦(UAE)は政治的・経済的安定を背景に、国策としてイノベーションを積極的に求めており、このことは医療AI分野においても他ならない。このほど、UAEのドバイでは「高度に自動化されたAIメディカルチェックセンター」が設立された。 UAEメディア・Gulf Newsが今週報じたところによると、ドバイ保健局のSmart Salemと名付けられたこのセンターでは、VIPや投資家・特定の市民などを対象として、ビザ取得や就労就学に必要となるメディカルチェックに関してAIとロボットによる自動化を実現したという。これまで検査実施から結果の受け取り、ビザスタンプの取得まで数日単位を要していたプロセスを、約30分に短縮することができる。 ロボットによる受付から始まり、既往歴の確認、バイタルサインのチェック、採血、レントゲン撮影に至るまでをほぼ人の手を借りずに施行できるよう設計されており、各種検査に対してはAIシステムによる解析とスクリーニングが加えられるとのこと。

MIT – AIを利用し強力な新規抗生物質を同定

米MITの研究チームは、AIを利用して新しい抗生物質を導くことに成功した。研究を率いたJames Collins教授は「この新しい化合物はこれまでに見つかっている抗生物質の中でも、最も強力なものの内のひとつである」ことを強調する。 Digital Health Newsが報じたところによると研究チームは、化合物の分子構造を分析することで、潜在的な抗生物質を特定することのできる機械学習アルゴリズムを訓練したという。2500に及ぶ分子を分析した後、同アルゴリズムは薬剤耐性菌を含む多くの深刻な細菌に対応できる、全く新しい抗生物質を同定することに成功した。 1968年公開の映画「2001年宇宙の旅」で、人工知能を有するコンピュータシステム・HAL9000に由来し、本抗生物質は「halicin」と名付けられた。創薬におけるパラダイムシフトさえ意味する本研究成果は、人類と細菌の長い戦いの歴史に大きな一幕を加えようとしている。

日本のAIスタートアップはインドエコシステムと関係強化 – FiNCらの挑戦

予防ヘルスケア x AIテクノロジーのプラットフォームアプリを手がけるFiNC Technologiesは、順調な資金調達と推定企業価値からNEXTユニコーンとしての期待が高まる。同社のようなベンチャー企業は資金調達のみならず市場機会の模索と人材登用のため、インドのエコシステムとの関係強化を進めている。 インドのスタートアップ関連メディアYourStoryでは、日本貿易振興機構(JETRO)がインドのシリコンバレーと謳われるベンガルールで主催したイベントの様子を報じている。先述のFiNCは2017年から市場の成長が見込まれるインドでの活動を開始し、デリーを拠点とするフィットネス企業FitMelnへの投資も行っている。FiNCはインドをグローバル展開の入り口と考え、さらなるM&Aやビジネス提携の機会を模索しているという。 日本の新興企業は、インドのIoT/AI関連人材の利用に大きな魅力を感じ開拓を続けている。インドスタートアップのエコシステムを現地で活用するだけではなく、日本で働きたい人材をいかにして招くか、国際的な人材獲得競争への注力も始めている。日本のスタートアップにとって、米国シリコンバレーに次いで、インドを第2の目的地とする動きは今後も続くだろう。

AIとリキッドバイオプシー – がん治療を変革する先端技術

リキッドバイオプシー(liquid biopsy)は、血液や尿などの生体液体成分から腫瘍関連情報を取り出す低侵襲な診断技術で、近年急速な技術発達と知見の集積が進んでいる。リキッドバイオプシー検体に含まれるがんの遺伝子変異などを捉えることで、早期診断や個別化された治療薬選択に結び付けられる可能性が期待されているが、この分野においてもまたAIの果たす役割が大きくなろうとしている。 検体に含まれる複雑で微かなシグナルを正確に捉えることは容易ではないが、ここにAI活用の余地がある。DNAシーケンス技術をリードするIlluminaは、2016年に米GRAILと提携することを公表した。ビッグネーム協調の背景には、遺伝子スクリーニングとAI技術を用いて臨床データを解析し、ピンポイントにがん特異的なパターンを抽出する狙いがあった。実際、GRAILはSTRIVE Studyと呼ばれる約10万人の参加者を抱えた大規模臨床試験を展開し、複数のがん種を血液検査から早期発見する手法開発に取り組んでいる。 また、同様の技術開発への熱意はアカデミアにおいても変わらない。米Johns Hopkins Universityの研究チームは機械学習を利用し、血液から8つのがん種とその局在を捉えるアルゴリズムを導いている。CancerSEEKと名付けられたこの手法においては、がん種ごとに特異度のバラツキはあるものの押し並べて有用な結果を提示し、早期がん診断に新たな道筋を示した。研究成果は学術誌Scienceに公表され、大きな注目を集めた。 血液検体は情報量が多いため知見集積に先行するが、今後尿をはじめとした他の体液成分についても更なる研究が進むことは間違いない。世界的な高齢化の進展を背景に、がんは死亡のleading causeのひとつであり続けると考えられ、その早期診断と個別化治療への需要はとてつもなく大きくなっている。

東大発ベンチャーLPIXEL – 胸部X線画像解析AIで医療機器製造販売承認を申請

LPIXEL(エルピクセル株式会社)は、胸部X線画像から肺結節を疑う領域を検出し、医師の診断支援を行う画像解析ソフトウェアについて、PMDAに医療機器製造販売承認の申請をしたことを公表した。 同社の発表によると、この医用画像解析ソフトウェア・EIRL Chest X-ray Lung nodule(仮称)は、AIを活用した独自アルゴリズムによって結節を疑う領域を同定、医師の見落としを防ぐことで医療の質的向上を図るという。 LPIXELは東京大学発ベンチャーで、ライフサイエンス分野における画像解析AIに高い技術を持つ。昨年10月には、脳MRI画像から脳動脈瘤を疑う部位を検出するEIRL aneurysmが、薬事承認を取得し実際の販売を開始している。

アイリス – AIによる新規インフルエンザ検査法を日本から

日本発のAI医療機器開発で存在感を示すベンチャーがある。アイリス株式会社(Aillis Inc.)はインフルエンザ感染で咽頭に発生するインフルエンザ濾胞について、視診で見分ける臨床医の診断技術をAI画像解析で可能とした。鼻腔から綿棒で検体採取する迅速検査キットとは別に、簡便で正確な早期検査法として医療機器認証を目指す。 香港の日刊紙South China Morning Postでも、AillisとそのCEOで医師の沖山翔さんを紹介している。創業者である彼の経歴とビジョン、日本で販売が承認されているAIベースの医療機器がごくわずかである現状、臨床試験を開始して近く承認を目指す同社の日本における先行性にも言及している。 新型コロナウイルスの話題が続く中、米国で今シーズンのインフルエンザによる死者が1万人超を記録したニュースが驚きをもたらした。感染症との戦いは様々な形で続くであろうが、インフルエンザへの対抗策はもともと日本では関心が高かった得意分野のひとつと言える。日本政府も医療分野におけるAI開発を重点項目としているが、アイリスのように有為な日本発ベンチャーが今後も国内外問わず注目されていくことを期待したい。

心臓MRIの解析から重篤な転帰を予測するAI

英国University College London(UCL)を中心とした研究チームは、心臓MRI画像(CMR)から血行動態を評価し、患者の重篤な転帰を予測するAIアルゴリズムを開発した。研究成果は学術誌Circulationに掲載されている。 UCLの公表によると研究チームは、非侵襲的な心血流評価が可能なCMRに関し、1000名の患者から取得された同画像をアルゴリズムに学習させたという。AIは冠動脈血流を含む心臓の血行動態を正確に量的評価するとともに、AIによって血流障害を疑われた症例は「より重篤な転帰(死亡・虚血性心疾患・脳卒中・心不全など)を迎えやすいこと」も確認されたとのこと。 CMRは急速な技術的革新をみているが、スキャン画像を予後判断や治療方針に結び付けられるほど正確に評価することは簡単ではなく、十分に取り扱える医師も限定的であった。研究を率いたJames Moon教授は「私たちはこれまで、画像から手作業で血流評価を行ってきたが、これは非常に煩雑で時間を要する作業だった」とし、心筋虚血など心臓の血流障害は基本的に治療方法が存在することも併せ、AIの高い有用性を強調している。

BenevolentAIが特定した新型コロナウイルス治療薬の可能性

新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、検疫など封じ込め対策の一方で、研究者らは既存の抗ウイルス薬が治療薬として再利用できる可能性を探っている。中国では既にHIV治療薬であるアッヴィ社のカレトラ(ロピナビル/リトナビル)やヤンセンファーマ社のプリジスタ(ダルナビル)など10以上の薬剤で試験が申請されているという。 Equities.comではコロナウイルス治療薬検索に取り組むロンドン拠点のBenevolentAI社を紹介している。同社は独自のAIプラットフォームにより生物医学情報を解析し膨大な候補から可能性の高い治療薬を絞り込む。その結果、関節リウマチ治療薬のバリシチニブ(baricitinib)が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬となる可能性を予測している。 学術誌The Lancetに掲載された同研究によると、ウイルス感染のプロセス途上にあるAAK1(Adaptor-associated protein kinase 1)の機能を阻害することで治療効果が期待されるという。BenevolentAIは378種の既知のAAK1阻害剤から47の化合物に絞り込み、そのうち6つがAAK1の阻害に高い親和性を示し、その中で1つだけが高用量での副作用を起こしにくいと考えられた。それがイーライリリー社とインサイト社によって開発されたバリシチニブ(製品名オルミエント)であった。 現時点でこのような薬品が真に治療効果を持つ保証はできないが、本格的な新規治療薬開発までの時間を大幅に節約できるかもしれない。BenevolentAIの共同創設者Ivan Griffin氏は「圧倒的な量の生物医学情報からAI技術でなければ見逃してしまうような知見を得ることができた」と語っている。

医療機関幹部の89%が効率化を実感 – オランダKPMGのAI調査「Livin in AI Wolrd」

オランダを本部とするコンサルティングファーム KPMGからのレポートには、医療機関の幹部の89%が既にAIによる医療システムの効率化が始まっていると回答している。 Healthcare IT Newsによると、KPMGのAIに関する世情調査「Livin in AI World」で扱った5分野のうちにヘルスケアが含まれている。各セクターを代表する751名が、AIの将来・メリットの最大化・課題の克服に講じているステップに注目している。医療・ヘルスケアにおいては、回答者の53%が他の業界よりAI採用が先行していると言い、一方で37%の回答者が、トレーニング・コスト・プライバシーの要因でAI実装ペースが相殺され遅すぎると考えている。 AIはシステムの効率化を通して、患者ケアへのアクセス向上・改善に寄与すると91%が回答している。AIによる診断の効果は68%が実感、今後2年以内に診断分野への大きな影響が出ると47%が確信している。KGMGの担当者Melissa Edwards氏は「実質的にはほぼすべての主要な医療関係者がAI分野のプログラムを推進しようとしています。臨床医を支援するツールとしてのAIは、各種の文献発表で支持されている通りです」と語る。

Medtronic – 英Digital Surgeryを買収

心臓ペースメーカーをはじめとする医療機器開発で知られるMedtronicは、英ロンドンに本拠を置くDigital Surgeryを買収したことを公表した。 医療機器産業に関するニュースを扱うMassDevice.comの報道によると、Medtronicは、外科領域のAIプラットフォーム開発を進めるDigital Surgeryを買収したという。Medtronicはロボット手術やデジタル外科手技トレーニング分野などの更なる強化を狙うとみられ、同領域ではIntuitive Surgicalとそのda Vinciが現在のトップリーダーとして競合することになる。 Digital Surgeryは、AIを利用した先端コンピューティング技術によって外科治療の質的向上を図ってきた。同社の主要製品にはTouch SurgeryとGoSurgeryがあり、前者はインタラクティブな外科手術シミュレーションを実現したアプリとして、200万回以上のダウンロードを達成している。 

「アラーム疲労問題」解決の糸口はAIの手に

過剰な、または誤った警報によって医療者を疲労させ、危機意識を鈍麻させる「アラーム疲労」は臨床現場の切実な問題の1つである。これまで講じられてきたあらゆる対策を超えて、AIがその根本解決を担う可能性がある。 アラーム疲労の解決に向けた取り組みは、古典的な「manual tweaks」つまり手動での調整が主体となってきた。誤警報を直接減らすための感度調整や、医療者の精神的摩耗を回避するためのアラーム音量・音質調整が相当する。現に米Boston Medical Centerでは、警報をより緊急性の高いケースでのみ作動するように変更したところ、89%のアラーム削減と看護師のより素早い対応に結びついた、との研究報告もある。manual tweaksにおける別のアプローチとしては、そもそもアラームの閾値を患者ごとに個別化してしまう方法もある。手間はかかるものの期待される効果は高く、Johns Hopkins Hospitalの例では、6つの臨床部門で1日あたり24-74%のアラーム削減に成功している。 では、99%のアラームに臨床的意義が乏しいとされる現代の医療現場において、AIはどういった役割を果たすことができるだろうか。その際たるものは「1%の本物を見落とさない目」であり、肉体的・精神的に過度なストレスに晒され続ける医療者に寄り添い、患者の深刻な病状変化などを見過ごさない「セーフティネットとして機能するAIシステム」が強く求められている。患者第一の過度なアラーム感度設定は、医療者の「アラーム疲労」を引き起こし、望ましくない結果をもたらしてきた現実もある。AIの潜在的有効性に対する期待は大きく、関連研究・開発は徐々に進んでいる(過去記事)。

臓器位置変動へのAI画像補正が放射線治療を変革するか?

放射線治療で対象となるがんや臓器の位置は、呼吸などの要素で動いてしまう。日本放射線腫瘍学会が公認している各種ガイドラインでは、より安全かつ治療効果を高めるために未解決の課題として生理的な臓器の位置変動に対する試行錯誤の経緯が紹介されている。人の身体はどうしても完全静止することができない事実に、AI技術による経時的な微小変動を画像同士で照合し一致させる取り組みが、解決の可能性を生むかもしれない。 オランダのアイントホーフェン工科大学(Technische Universiteit Eindhoven: TU/e)の公式ニュースでは、医療画像解析を専門とした博士候補者Koen Eppenhof氏のディープラーニングを基礎とした画像補正アルゴリズムを紹介している。彼は博士課程開始時より温めてきた、同一人物で別時間に撮影されたスキャン画像同士を照合させるAI技術に取り組んでいる。かつて計算の実行に数分かかったものをいずれ完全なリアルタイムで一致させることを理想としている。Eppenhof氏のアイディアには、MRIガイド下で前立腺がんの治療を行っているユトレヒト大学病院が関心を寄せている。治療直前にスキャンされた前立腺の位置は、放射線の照射中に、尿が膀胱に満たされるなどの要素でゆっくりと動く。Eppenhof氏の方法論はその動きを追跡するには十分高速に働き、治療の効果向上と合併症回避に役立つ可能性が考えられている。 呼吸性に変動する臓器の代表格である肺に対する臨床応用も大本命と考えられ、トレーニングを受けたニューラルネットワークは実用レベルとの期待がある。しかし、実際の臨床現場で正確に機能するかどうか、あるいは多くのAIアプリケーションと同様の課題である説明不能な部分を規制当局からどのように評価されるか、課題は少なくない。Eppenhof氏は「技術の完全自動化は決して許可されないでしょう。責任者による監視は必須となります」と説明している。

医学的因果の新しい探索技術 – データから因果関係を読み解くAI

英Babylon HealthとUniversity College London(UCL)の共同研究チームは、複雑に絡み合うデータから「単なる相関ではなく、因果関係を意味する関連」を抽出できる信頼性の高い手法を開発した。本研究論文は、最も権威ある人工知能学会の1つ「AAAI」(米人工知能学会)にも採択されている。 UCLの公表によると、本研究では量子暗号に着想を得、古く・重複し・不完全なデータセット群を融合することにより「どの統計学的相関が医学的な因果関係を意味しているのか」を高い信頼度で抽出する手法を開発したという。物理理論においては、全てのものは時間経過に伴って「乱雑で複雑に」なるため、原因は常に「より乱雑で複雑"ではない"」ことになる。研究を率いたLee博士は「取得したデータセットにおいて、それぞれの変数に複雑度評価を与えれば、どれが原因かを見つけることはできる。ただしこれは1つのデータセットにしか適用できない。我々が望んだのは、仮にギャップのあるデータセット群であっても複数を結びつけ、研究者の医学的関心に応えられるものだ」としている。 研究者らは、このAIを乳がんとタンパク質のシグナル配列に関するデータセットで検証しており、AIは正確に原因変数を特定できたことを示した。このAIは、過去の研究結果(データ)を紡いで利用することで、根底にある未知の知見を導けることを意味しており、高額な臨床試験やそもそも倫理的に行えない試験などを回避し得る画期的発明と言える。なお、本研究で使用されるアルゴリズムは医学研究者の利用を想定し、arXivで入手することができるほか、研究の質的検証も可能とするため、テストされたデータセットは全てオープンアクセスで公表されている。

Caption Health – AIによる心エコーのガイドシステムでFDA承認を取得

米Caption Healthは7日、AIによる心臓超音波検査のガイドシステム(Caption Guidance)でFDAの承認を取得したことを公表した。市場販売が承認された同システムは今後、特に循環器を専門としない医師・医療専門職における心臓超音波検査施行の敷居を下げ、一般的検査としての普及を支える可能性を持つ。 Caption GuidanceではAIによるリアルタイムナビゲートにより、心臓超音波検査への習熟が無い者でも「診断に利用できる水準の高品質な画像」を得ることができるという。また、同社システムに搭載されたAIアルゴリズムにより、一連の検査施行で得られた画像のうち、品質が高く診断に寄与すると考えられるクリップを自動抽出することもできる。 心臓超音波は高度な施行技術が求められる検査の1つで、検者間での品質差が大きい。循環器専門医や一部の検査技師などを除けば、一般診療において日常的に利用できる検査手技とは言えなかった。AIガイドシステムは、特に非専門家における需要が大きく期待され、循環器疾患の早期スクリーニングや疾患コントロールに大きな役割を果たすとみられる。

AIによる新しい大腸がんマーカー

ノルウェーの研究チームは、大腸がんの組織切片画像に対する深層学習アルゴリズムの適用により、臨床的に有用な予後予測マーカーを開発した。 Medical Xpressが5日報じたところによると、研究チームは、ヘマトキシリン・エオジン染色後の組織切片をスキャンし、得られたデジタル画像から畳み込みニューラルネットワークのトレーニングを行ったという。導かれた大腸がんの予後予測マーカーは、独立した大規模な患者集団での検証により、既知の分子マーカーや形態学的予後マーカーとも有意に関連し、それらの精度を上回っていたとのこと。このマーカーでは、古典的なステージ分類をさらに詳細な予後グループに階層化しており、「低リスク群での不要な治療回避」と「集約治療を要する群の特定」を実現する。 オスロ大学病院がんクリニックでディレクターを務める研究担当者は「従来型の予後診断ツールは、区分けがあまりにも荒い」と指摘し、AIを利用したより正確な予後診断方法の開発によって、過剰医療と過少医療のいずれもを回避できる可能性があることを強調する。

新型コロナウイルス肺炎と戦うロボットたち

中国企業によるコロナウイルス対策には、ロボットの利用も促進されている。いわゆるヒト-ヒト感染拡大が危惧され、医療従事者の感染リスクが注目されるなか、無人のロボット・AIアシスタントはひとつの対抗策と考えられている。 中国共産党傘下のメディアChina Dailyの報道では、中国企業が展開している先端技術を紹介している。上海を拠点とするTMiRob Co Ltdは武漢の6つの病院・上海と温州の病院に自走式ロボットを納入し24時間体制で稼働させている。主に消毒作業をロボットに行わせることで、医療従事者の環境への曝露を最小限に抑えている。同様に上海のLingzhi Technology Co Ltdも自走式消毒用ロボットを武漢と上海の病院で臨床応用し始めている。上海のUdesk Co LtdのAIアシスタントシステムは5分間で200件の医療相談電話に応答可能で、相談者の症状と連絡先などのデータを収集・分類・解析している。 様々な企業によって開発されてきた技術は、今回のコロナウイルス感染拡大をきっかけとして本格的な実用化とさらなる発展をみせるかもしれない。ある意味では、有事で飛躍的に発展する軍事技術と似た側面を有する。流行フェーズが過ぎた時、真に実用に耐えうる技術を評価して騒動を振り返る時期がくるだろう。

血液検査へのAI利用 – 神経変性疾患の進行予測を行うAIアルゴリズム

カナダ・マギル大学を中心とした研究チームは、血液サンプルから遺伝子発現を解析することにより、アルツハイマー病やハンチントン病といった神経変性疾患の重症度と進行の程度を予測するAIアルゴリズムを開発した。研究成果は学術ジャーナル・Brainに先週公開された。 チームの研究論文によると、1969例に及ぶ神経変性疾患患者における遺伝子発現データを利用し、アルゴリズムの構築を行ったという。教師なし学習によってトレーニングされたこの機械学習アルゴリズムは、神経変性疾患の重症度などを強力に予測していたことから、治療法選択に際する重要な情報をもたらす可能性が指摘されている。さらに、脳細胞サンプルで特定された多数の進行関連遺伝子のうち、このアルゴリズムは85-90%を血液サンプル単独でも特定できており、神経変性疾患の進行予測に関して血液検査の潜在的有効性が示唆されたことになる。 なお、本研究に利用された全てのデータは、3つの主要なソース(ROSMAP Study、HBTRC、ADNI)から収集されており、いずれもが科学研究利用を目的に一般公開されたデータベースとなっている。

入院患者の転倒を防ぐAIモニタリングシステム

米ネバダ州リンカーンに所在するBryan Medical Centerでは、リハビリ部門の入院患者における転倒事故を防止するため、AIによるカメラモニタリングシステムを導入している。 Modern Healthcareの報道によると、同センターは3年前からOcuveraとの提携によって、モニタリングシステムの導入と実運用を進めてきたという。20万時間に及ぶ映像から学習したAIシステムでは、患者の動き・毛布の位置などをレビューすることで「患者がベッドから立ち上がろうとするリスク」を予測し、看護師らのスマートフォンにアラートを送ることができる。体重ベースの感圧センサーによる警告システムなどに比べ、単なる寝返りや、本に手を伸ばすだけの動きで誤警報を発する可能性も大幅に削減されているとのこと。 ECRIに記録される患者インシデントの約10%が「転倒」であり、特に身体機能障害や認知機能障害を伴う患者が主体のリハビリ部門では、転倒リスクが極めて高くそのコントロールは重要な課題と言える。患者自身による無理のある離床を事前に捉えることで、医療者による適切なサポートが転倒予防に繋がる可能性は高く、臨床現場における知見集積に期待が大きい。

新型コロナウイルスに早期警告を発したAI – カナダ発スタートアップ BlueDot

中国の武漢から感染が拡大した新型コロナウイルスに対して、WHOは先週、国際的な緊急事態を宣言した。各国が事態の沈静化に協働するなか、AIは今回のような公衆衛生の危機にどのように立ち向かうことができるのだろうか? Forbesでは、その一例としてカナダ発のスタートアップBlueDotのAIを紹介している。米国疾病予防管理センター(CDC)がコロナウイルスに対する独自の警告を発したのが1月6日。それに先んじること1週間前の12月31日に、BlueDotのAIプラットフォームによる最初の警告が発せられていたことで話題となった。BlueDotはトロント大学の感染症科の医師で公衆衛生部門の教授であるKamran Khanらによって開発された。彼はかつてSARSが流行した際に最前線で医療に従事した経緯をもつ。BlueDotのAIプログラムは、世界の航空ネットワークなどの膨大なデータを処理して国際的な感染症アウトブレイクに警告を発することができるという。 Kamran Khanは「BlueDotでは自然言語処理と機械学習の利用で、65言語の膨大なテキストデータを処理し、24時間体制で15分ごとに100以上の疾病の発生を追跡しています。この作業を人力で行うことに時間とエネルギーを費やすのではなく、医療専門家らが実際の対応方法に集中することを可能にしたいのです」と語っている。