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新型コロナウイルスが医療AIに変化をもたらす可能性 – マイクロソフト社のCTOが言及

テック大手各社が新型コロナウイルス感染症への対抗策を次々に打ち出すなか、Microsoft社も鋭意的に取り組んでいる。The Seattle Timesには、Microsoft社のCTO 最高技術責任者 Kevin Scott氏のインタビューが掲載されている。同氏はCOVID-19のパンデミックの結果、ヘルスケア領域のAIが大きく変化する可能性について語った。 Scott氏は、1960年代の米国アポロ計画と月面探査に魅了されて育った。現在米国で崩壊した医療体制に対して、AI技術を中心とした資金調達をすすめる必要性を強調する。「我々のムーンショットは、公益のためにヘルスケアを根本的に変革するものであるべきだ」と述べている。 Microsoft社は、シアトル拠点のAdaptive Biotechnologieと共同で、この数週間AI利用による免疫システムと反応をマッピングする研究を進めている。COVID-19に対する臨床試験へ進めることを検討しているという。Scott氏を中心とした多くの研究への投資は、今回のパンデミックを越えたその先も見据えている。彼個人の生い立ちと内面にも迫る叙情的なインタビュー内容を一読してみて欲しい。

英国 COVID-19に関する患者データを科学者コミュニティに提供

英国における保健福祉の執行機関であるPublic Health Englandは、ケンブリッジ大学の要請に対し、匿名化した「COVID-19の感染患者データ全て」を科学者たちに提供することを決めた。これらのデータは、科学者らの構築したAIアルゴリズムのトレーニングに活用される。 Medical Xpressが6日報じたところによると、これらのデータセットには患者の入院記録・人工呼吸器の使用記録・治療内容・転機などが含まれているという。科学者らはこのAIによって、「どの患者が最も人工呼吸器の恩恵を受けるか」「どの患者が積極的治療なしでの軽快が望めるか」「病院への患者受け入れ可能数」などを予測することを目指し、COVID-19に対する医療提供体制の抜本的な効率化を早期に目指す。 先進各国における比較的安定した医療システムでさえ、予期しない医療需要の急激な増加には容易に崩壊し得ることが明らかとなった。この脆弱性はどの国・地域にとっても対岸の火事ではなく、システムの堅持を見据えた最適化行動が欠かせない。特に医療・保健システムは各国固有の発展を遂げてきた経緯があり、地域性に寄り添った効率化の指針策定が急務となる。

スマートインスリンペンは糖尿病治療のゲームチェンジャーになれるか

AIが糖尿病治療を変革するといわれてきたものの、当初の期待に応えられていない現状がある。その理由には、実用的データの不足・AIのコスト・糖尿病治療にあたる医療関係者とAI開発者との関連性の欠如などが指摘されている。内服薬で糖尿病コントロールの幅は広がったがインスリン注射の需要は一定続き、インスリン使用者は3つの障害(投与のサボりや忘れ・投与量調節の必要性・低血糖のリスク)に直面し続けている。従来のインスリンペンの延長線上でユーザーに馴染みやすいとされる「スマートインスリンペン」は糖尿病治療の景色を変えることができるか。 Entrepreneurの記事では、インスリンの投与量と投与タイミングを記録し、Bluetoothのような通信を介しワイヤレスで連携したモバイルアプリに情報送信する、スマートインスリンペンを紹介している。ペンに搭載された血糖値センサとリンクしてインスリンの適切な用量を提案できるプラットフォームが期待されている。その具体例としてHIT Consultantでは、アイルランドMedtronic社とデンマークNovo Nordisk社がスマートインスリンペンによるインスリン投与データを共有するシステム開発で協力している件を報じている。 米国を中心にインスリン投与法は、体内埋め込みタイプのチューブから持続的にコンピュータ制御で注入する「インスリンポンプ」が発展してきた。一方、日本ではインスリンポンプの普及度が相対的に低い。スマートインスリンペンは検証結果次第で、より低コストでインスリンポンプを代用し、市場に浸透する可能性がある。糖尿病も他の疾患と同様、新技術の採用に高齢者が適応できていないという課題にも立ち返る必要がある。次世代の標準治療技術として、スマートインスリンペンは机上の理論を越え、実用性・血糖値測定精度・コスト面でのメリットを証明していけるであろうか。

COVID-19のX線画像データセットをGithub上でオープン化 – 画像診断AI開発を加速

胸部X線画像から新型コロナウイルス感染症患者を迅速に診断する試みが世界各地で行われている。画像診断用のAIプログラム開発支援のため、カナダのモントリオール大学のポスドク研究員であるJoseph Paul Cohen氏らが主導し、COVID-19のレントゲン画像のデータセットがGitHub上に公開されている。画像コレクションは当初123枚から始められ、さらなる拡充を進めている。 英メディアDaily Mailでは、同データセットを利用してCOVID-19患者を診断する機械学習モデルを作成したオックスフィード拠点のZegami社を紹介している。同社は、開発した新しいプログラムでX線画像からCOVID-19を簡単で迅速な自動診断を可能とし、いずれは重症度や死亡と関連する潜在的な転帰を予測できるようになることを期待している。 現在のところ、使用している画像データセットには患者に付随した詳細な臨床症状などの情報が不足しているため、開発されたAIはCOVID-19と他の肺疾患との鑑別に役立つのみという限界がある。プロジェクトのさらなる進行のため、Zegami社は英国NHSに対して画像および臨床データの提供などを依頼しているという。同社のCEOであるRoger Noble氏は「開発されたモデルによって、英国NHSの素晴らしい医療スタッフ達が臨床の意思決定を行い命を救うだけでなく、世界中で共有されることでCOVID-19を打倒する手助けとなるでしょう」と述べている。

docandu – 個人カルテ記録に基づいた医学的アドバイスを行うAIアプリ

英国において新しいAIアプリ「docandu」が公開された。これは、これまで医療機関ごとに蓄積されていた患者個人の医療記録をクラウド上に保管し、患者自らが自由に参照できるようにするもの。また、搭載されたAIは患者からの健康関連の質問に対し、個人医療記録に基づく個別化された回答を行うことができる。 英The Daily Starは今月、このAIアプリの詳細を報じている。docanduの利用によって患者記録の参照性が高まり、医療情報の有効利用が促進されるだけでなく、遠方の専門医に対しても高速・安全にデータを共有できることから、セカンドオピニオンや遠隔診療の幅を広げるものとしても期待される。 英国においてもCOVID-19の感染拡大に伴う外出・活動制限は深刻で、急を要さない診療・手術に関する予約は全て延期となるなど、医療機関の体勢にも大きな変化がみられる。さらに、多くのGP surgery(英国の一般的診療所)も一時閉所しており、市民の日常的な傷病管理は危機的状況を迎えようとするなか、在宅で医学的アドバイスを得られるバーチャルケアシステムへの需要は益々大きくなっている。

代替ではなく能力拡張 – 皮膚科医と一般市民の診断精度を向上させるAI

皮膚科領域で発展を遂げるAIは、メラノーマ(悪性)と母斑(良性)を鑑別するなど専門医に匹敵する結果を示している。しかしそれは特定の狭い問題についてであり、炎症性疾患や感染症のような数多くの皮膚疾患が混在する実臨床に近い環境での性能を検証する必要性が指摘されてきた。Journal of Investigative Dermatology誌に、ディープラーニングをベースとしたAIアルゴリズムが皮膚科医と一般市民の初期診断精度を向上させた研究成果が報告されている。 メディアEurekAlert!では、韓国発の「ディープニューラルネットワークで医療従事者の皮膚がん診断と134種の皮膚疾患鑑別を能力強化する」研究について紹介している。アジア人と白人合わせ22万枚の皮膚画像で訓練されたアルゴリズムは、それ自体の診断性能は皮膚科研修医とほぼ同等、皮膚科専門医のパフォーマンスをわずかに下回るくらいであった。研究が強調する利点は、試験参加者にアルゴリズムの回答を通知して一次診断を修正できるようにすると、参加した皮膚科医の悪性腫瘍診断の感度を77.4%から86.8%に向上させ、一般市民で感度47.6%から87.5%に向上させたという結果にある。皮膚科医の診断能力向上のみならず、一般市民が悪性腫瘍を放置することなく皮膚科受診のきっかけを生み出せるかもしれない。 ソウル大学を中心とした研究グループによると、彼らのアルゴリズムはAIが人間にとって代わるのではなく、人間をサポートする拡張知能として機能することを期待している。このアルゴリズムをスマートフォンで利用し、専門医受診へとつながるという流れを想定して、研究者たちは初期のデモ版をウェブサイトで公開している。一般市民の撮影では画像品質や構図の問題でアルゴリズムの結果に影響するなど研究の限界には注意が必要である。現在、新型コロナウイルス感染症 COVID-19感染拡大の中、遠隔診断のメリットはますます注目されている。実際に使用してみるとシステムの迅速なレスポンスなど大いに期待できるものであるため、まずは体感してみて欲しい。

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