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MyHealthTeams シリーズBで約10億円の資金調達

米サンフランシスコのスタートアップMyHealthTeamsは、ベルギーに本拠を置く世界的製薬メーカーであるUCBなどから、シリーズBラウンドにおいて約10億円の資金調達を実施した。 MyHealthTeamsは、慢性疾患を持つ人々を対象としたソーシャルネットワークサービスで知られる。現在33のネットワークを提供し、多発性硬化症・過敏性腸症候群・血友病・うつ病など疾患は多岐に渡り、13の国々から200万人を超えるユーザーを抱える。ソーシャルネットワークを介した心理的サポートや日常生活上のアドバイス共有などだけではなく、AIを活用したユーザー個々の需要に応じた患者教育も提供する。 同社による発表のなかで、CEOのEric Peacock氏は「慢性疾患と生きることは、世界の半数の人々が直面する現実だ。我々のサービスは適切な情報の共有とサポートを通して、患者のより良い病状管理につなげることができる」と述べる。

医療AI研究を守るのもまたAI – メリーランド大学のサイバーセキュリティ技術提携

個人情報の宝庫である医療機関の患者データに、サイバーアタックの脅威が迫っている(過去記事)。メリーランド大学は、ボルチモア校(UMB)とボルチモア郡校(UMBC)の間で協定を結び、医療データと医療機器をサイバーアタックから保護するためにAIを活用することを発表した。 Healthcare Innovationの報道によると、ボルチモア校の医学知識と、ボルチモア郡校のサイバーセキュリティ技術を組み合わせることで、医療データの安全性を高める計画が進められる。同大学の大規模データセットから機械学習モデルを設計する際には、関連する医療デバイスとシステム上のセキュリティリスク自体をAIが発見するという。 「今後の臨床研究プロジェクトは、その一部にサイバーセキュリティを含むものでなければいけない」と、ボルチモア校の担当者は述べる。医療AI研究のためデータ収集するデバイスやシステムの経路が増えるほどに、セキュリティに抜け道が生じることも自明である。従来のセキュリティホール探索に限界が生じたとき、そこにもまたAI活用の余地があるだろう。

誤警報がオオカミ少年にならないために – アラーム疲労を防ぐAI

病院内は患者の状態をモニタリングする電子機器で満たされている。無駄で頻繁なアラームに晒された医療者には、重大な知らせを見逃したり、判断が鈍くなるような反応が起きる。その現象は、通称 ’Alarm fatigue’(アラーム疲労)と呼ばれ問題視されてきた。特に集中治療室(ICU)ではアラームが救命に直結するリスクも高く、看護師らのストレスが高まり、医療の質を低下させる可能性が指摘されている。 米メディアNBCの報道によると、集中治療室へAI導入が進む中、アラームの質が改善されて、患者と医療者の双方にメリットが生じている。既存の単純なルールにしか従えない監視システムは誤検出率が高かった。とあるICUでは平均90秒ごとのアラームに看護師が反応し、アラームの3分の2が誤っている状況にあった。FDAは2005-2008年の間にアラーム関連の問題で500人以上の患者が死亡したと警告している。それらアラーム疲労の影響もうかがえる状況をAIアシスタントが改善しつつある。 カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)は、医療AIを推進する現場のひとつである。学習を受けたAIアシスタントは、偽の緊急フラグを無視して、確実性の高い警告を出す。また、既に起きている問題の緊急警告ではなく、重大イベントを事前に予測して通知するメッセージならば、事態を穏やかに受け取れる。同大学の救急医Christopher Bartonは「誤ったアラームが減少し、仕事が速く効率化されていると、病棟の看護師から肯定的なフィードバックを受けている」と語った。

中国電子科技大学 機械学習による外傷性脳損傷の生存率予測

中国のIT研究・開発と人材育成を牽引する電子科技大学は、外傷性脳損傷患者の生命予後を予測する機械学習アルゴリズムを構築し、古典的な統計モデルとの精度比較を行っている。 チームが学術誌Journal of Critical Careに公表する研究論文によると、22の機械学習モデルと、オーソドックスな統計的回帰モデルであるロジスティック回帰モデルを利用し、重症の外傷性脳損傷患者の生存率予測における精度を比較した。ロジスティック回帰モデルにおけるAUCが83%であったのに対し、機械学習モデルにおいては86.3~94%とより高い精度を示した。他指標においても機械学習モデルの優位性がみられていた。 外傷性脳損傷の予後予測モデルには臨床利用可能なものが複数提唱されているが、機械学習アプローチによる新しい予後予測がより有効である可能性が示唆される。過去記事からも、機械学習モデルを活用した「高齢者の予後予測」、「乳がん患者の予後予測」なども紹介しているのでご覧頂きたい。

手術後の傷は自宅でAIアプリが観察 – 国立台湾大学医学院附属病院

国立台湾大学医学院附属病院は医療AI導入に積極的な姿勢を示している。スマートフォンアプリによる皮膚疾患診断の取り組み(過去記事)を以前に紹介した。他にもユニークな実用例が登場している。AI-SWAS(Smart Wound Assessment System)は手術後の傷を患者自身が自宅でスマートフォンで撮影し、状態をAIが判定、必要に応じて主治医と連絡を取るアプリである。 台湾大学のプレスリリースによると、アプリはAndroidプラットフォームで、3年の期間を経て、46名の患者と131枚の術後の創部写真をベースに開発された。AIアルゴリズムは、傷の治る過程が正常か異常か判断し、紅斑・炎症・壊死・感染を91%の精度で識別できるという。アプリ内には画像の明るさや色を調整するソフトウェアも組み込まれ、診断精度を助ける。皮膚のタトゥーを除外することにも成功した。 Taipei Timesには、同大学担当者インタビューと、アプリのデモンストレーションの様子が取材されている。医療スタッフにとっては、AIがセカンドオピニオンとなって診断の時間と労力を削減する。患者は傷の自己管理にタイムリーなアドバイスを受けながら、主治医とのチャンネルを維持し、通院の負担を軽減できる。アプリはiOS向けにも開発中で、手術以外のあらゆる創傷に対して機能を拡張する計画があるという。台湾大学の医療AIに対する先進的な動きについては今後も注目したい。

外科手術後の合併症を予測する機械学習アルゴリズム

外科手術は、がんをはじめとした悪性疾患の根治療法ともなる、現代医療における大きな柱のひとつである。一方で、外科手術には一定の割合で合併症を伴うため、この発症予測と予防、早期治療が重要である。米オハイオ州立大学外科腫瘍学の研究チームは、外科手術後の合併症を予測する機械学習アルゴリズムを構築した。 学術誌Journal of Gastrointestinal Surgeryにて公表されたチームの論文によると、米国外科学会(ACS)の「手術の質改善プログラム(National Surgical Quality Improvement Program)」に集積されたデータベースを活用し、肝臓・膵臓・大腸のいずれかの外科手術を受けた患者データを抽出したという。これらから導いた機械学習アルゴリズムでは、合併症の発生をc統計量0.74と比較的高い精度で予測しており、合併症ごとの発生予測でも変わらない精度を維持していた。特に外科手術後の脳梗塞発症では、c統計量0.98と最も高い値を示した。 過去の検査結果を含め、無数とも言える患者ごとの背景データを全て把握し、合併症予測を適切に行うことは簡単ではない。電子カルテの一般化に伴い、AIを利用した自動予測とアラートシステムは、医師サポートの人工知能活用事例として期待が高まっている。

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