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子どもの話し方から「うつ」を識別するAIアルゴリズム
米バーモント大学の研究チームは、子どもの話し方から不安やうつを識別できるAIアルゴリズムを開発した。研究成果は学術誌・Journal of Biomedical and Health Informaticsに掲載された。
米メディアScience Dailyが今月6日報じたところによると、バーモント大学の研究チームは、3歳から8歳までの子ども71人に対して話し方の調査を行ったという。音声データから子どもの診断名を分類する機械学習アルゴリズムを構築したところ、内在化障害を80%の正確性で識別するなど、不安・うつ症状の存在を高い精度で識別することに成功した。
米国では5人に1人の子どもが不安・うつ症状を自覚するなど社会問題化しているが、特に8歳未満においては自身の感情トラブルを他者に伝えること自体が難しい。簡便で客観的な評価尺度の求められていた同領域において、当該アルゴリズムの有効性には大きな期待が集まる。
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中国平安 医学的判断をサポートするAIツール「AskBob」をシンガポールに提供
中国の大手総合金融グループである中国平安(Ping An)は、医師による医学的判断のサポートを行うAIツール「AskBob」を展開している。このほど、同ツールをシンガポールの医療機関へも提供することを公表した。
AZoRoboticsが24日報じたところによると、中国平安が展開するAskBobは、シンガポール最大の医療機関SingHealthに提供され、臨床利用されるという。数百万の臨床ガイドライン、匿名化済みの患者データベース、各種医療統計などを組み込み、1500を超える疾患の正確な診断と治療方針のアドバイスを行えるものとしている。
中国平安は、強固な医学系ナレッジグラフと高度の自然言語処理技術を持っており、AskBobに大きく活用された。シンガポールの大学病院やアカデミアとも共同研究を行うなど、幅広い展開をみせる同グループは医療AI開発における存在感を一層高めている。
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「アラーム疲労問題」解決の糸口はAIの手に
過剰な、または誤った警報によって医療者を疲労させ、危機意識を鈍麻させる「アラーム疲労」は臨床現場の切実な問題の1つである。これまで講じられてきたあらゆる対策を超えて、AIがその根本解決を担う可能性がある。
アラーム疲労の解決に向けた取り組みは、古典的な「manual tweaks」つまり手動での調整が主体となってきた。誤警報を直接減らすための感度調整や、医療者の精神的摩耗を回避するためのアラーム音量・音質調整が相当する。現に米Boston Medical Centerでは、警報をより緊急性の高いケースでのみ作動するように変更したところ、89%のアラーム削減と看護師のより素早い対応に結びついた、との研究報告もある。manual tweaksにおける別のアプローチとしては、そもそもアラームの閾値を患者ごとに個別化してしまう方法もある。手間はかかるものの期待される効果は高く、Johns Hopkins Hospitalの例では、6つの臨床部門で1日あたり24-74%のアラーム削減に成功している。
では、99%のアラームに臨床的意義が乏しいとされる現代の医療現場において、AIはどういった役割を果たすことができるだろうか。その際たるものは「1%の本物を見落とさない目」であり、肉体的・精神的に過度なストレスに晒され続ける医療者に寄り添い、患者の深刻な病状変化などを見過ごさない「セーフティネットとして機能するAIシステム」が強く求められている。患者第一の過度なアラーム感度設定は、医療者の「アラーム疲労」を引き起こし、望ましくない結果をもたらしてきた現実もある。AIの潜在的有効性に対する期待は大きく、関連研究・開発は徐々に進んでいる(過去記事)。