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どの知見が医療を大きく変化させるか – 研究インパクトを予測する機械学習モデル

あらゆる医学研究成果は論文化され、科学的知識の集体に加えられることで、将来的な医療発展の礎となる。世界中から無数に生み出される新しい医学的知見のうち、「どの成果が最終的に実臨床を変化させる可能性が高いか」を予測する機械学習モデルが開発された。論文はPLOS Biologyに先週公開されている。

米国立衛生研究所(NIH)のチームは、どの研究成果が将来の医療発展を直接的に促しているのかを予測するため、「ある研究知見が後の臨床試験実施やガイドラインへの取り込みに結びつく程度」をプライマリアウトカムとしたAIアルゴリズムとそれに基づく新指標を構築した。”Approximate Potential to Translate”(APT)と名付けられたこの新指標は、対象とする研究論文と、さらにこれを引用する研究論文群とを併せて評価することで算出される。出版後データはたった2年分を利用することで正確な予測を実現しており、研究者達の迅速な意思決定を可能とすることで、医学の発展速度を上昇させる可能性がある。

APTはデータ主導の意思決定コンポーネントの1つとして、より発展性が高い領域や臨床的な潜在的有効性が高い領域を定量的に抽出することができる。これまでの直感や経験に基づく研究分野選定にAPTを加えることで、限られた研究資源を将来性の高い領域に効率的に投入できるため、医学研究コミュニティに与える影響も極めて大きい。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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