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心電図波形から1年以内の死亡を予測するAIアルゴリズム

米ペンシルベニアにおいて、数百万に及ぶ住人に医療サービスを提供するGeisingerは、同組織内の研究により「心電図波形から1年以内の重篤な不整脈発症や死亡を予測するAIアルゴリズム」を構築したことを公表した。研究成果は今月、米心臓協会(AHA)の年次会議にて報告された。

Geisingerのニュースリリースによると、この2種の研究においては、Geisinger system内に保有される200万件以上の心電図波形を利用し、ニューラルネットワークへのトレーニングを行ったという。研究アウトカムは、未発症者からの心房細動の1年以内発症、および1年以内の死亡の2項目で、いずれもAIモデルは高度な予測能を示したという。AIによって高リスク評価を受けた心電図波形については、3名の循環器専門医による個別評価を行ったが明らかなリスクパターンは認識できず、深層学習の潜在的有用性に新たな一面を加えた形となる。

無所見と思える心電図波形から将来の疾患発症・死亡を予測できることは、大きなインパクトのある研究成果であり注目が集まる。ただし、本研究はあくまでヒストリカルデータを利用したもので、他集団における前向き研究では有効性が消失する可能性も十分にあることに注意が必要と言える。今夏には米メイヨークリニックの研究チームが「非発作時の心電図波形から心房細動の存在を識別できる」ことを示すなど、心電図波形とAIの高い親和性を思わせる(過去記事)。今後も循環器疾患を中心に、同テーマで新しい知見の創出が進むはずだ。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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