医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例脳内出血と主幹動脈閉塞の自動検出でFDA承認 - Avicenna.AI社のCINA Head

脳内出血と主幹動脈閉塞の自動検出でFDA承認 – Avicenna.AI社のCINA Head

脳卒中は米国の死因第1位であり年間約80万件の発症・10万人以上の死亡者を記録する。脳卒中のなかでも、約3分の1が主幹動脈閉塞(LVO: large vessel occlusion)であり、約1割が脳内出血(ICH: intracranial hemorrhage)が原因といわれる。その2つを自動検出するAI画像診断システム「CINA Head」が米FDA承認を取得した。

開発元であるAvicenna.AIの14日付プレスリリースによると、CINA Headはディープラーニングと機械学習を組み合わせたシステムで、急性期のICHとLVOをCT検査から20秒以内に自動検出し警告を発する。同システムは全米250以上の画像センターで検証され、ICH検出では精度96%・感度91.4%・特異度97.5%、LVO検出では精度97.7%・感度97.9%・特異度97.6%の達成をうたっている。脳卒中のトリアージとして迅速な病態特定と早期治療に結びつくことが期待される。

脳卒中の標語「Time is brain(時は脳なり)」は救急に携わる者にはよく知られ、急性期治療で「時間」は最重要課題となる。例えば、脳梗塞で血流を再開するための血栓溶解剤「アルテプラーゼ」投与には発症から4.5時間以内という喫緊の時間的制約が課される。Avicenna.AIのCEOであるCyril Di Grandi氏は「CINA HeadのFDA承認によって、米国全土の救急・脳卒中センターと協力し、患者の転機改善に貢献できることを楽しみにしています」と述べた。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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