「霊長類の個」を識別するAIアルゴリズム

動物の個体を識別することは、種の分布や行動特徴を理解することに役立つのみならず、生態系への深い理解と保全に大きく寄与する。一方で、従来から行われているマーキング法では、動物に対する過度の侵襲と予測不能のリスクが問題となってきた。中国・西北大学の研究チームは、「霊長類の個」を識別する機械学習アルゴリズムを開発した。

科学分野のオープンジャーナルであるiScienceに公表されたチームの研究論文によると、41種の霊長類から1,040の識別済み個体において、計10万を超える画像データを用い、機械学習アルゴリズムのトレーニング・検証を行ったという。最適モデルにおいては、霊長類の個を94.1%の精度で正しく識別しており、毎秒31枚の顔画像を処理することができた。

動物の顔画像から種を識別するAIアルゴリズムは多数提唱されてきたが、「霊長類の個」を識別するものは非常に珍しい。学習データに含まれる種のうち、霊長類24種については個体数が12を下回るなど、妥当なアルゴリズム生成の観点からは一定の限界を持つ。一方で、全く新しい安全な動物のフォローアップ手段を提唱する本アプローチには、今後の研究アップデートが強く期待されている。

前の記事韓国のJLK Inspectionと日本のドクターネット – 遠隔医療へのAI活用で提携
次の記事RadNetとHologicのパートナーシップ – 乳がん検出へのAI利用
TOKYO analytica
TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。
The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。

1. M.Okamoto MD, MPH, MSc, PhD
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、ロンドン大学ユニバーシティカレッジ(University College London)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員を経て、東京大学特任研究員など。専門はメディカルデータサイエンス。

2. T.Sugino MD
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。