COVID-19に対する現時点での標準検査法である鼻咽頭スワブからPCR検査を行う流れは、綿棒を強く差し込む不快感やPCR検査にかかる時間やコストが課題となっている。より迅速で安価な利用しやすい検査法の探究として、呼気から新型コロナウイルス感染を検出するセンサーが開発され、学術誌 ACS Nanoに研究結果が報告された。
ScienceDailyでは、中国のグループから発表された同研究を紹介している。これまでの研究で、ウイルスとそれに感染した細胞からは、揮発性の有機化合物(VOCs: volatile organic compounds)が呼気中に排出されることが知られていた。研究グループは金ナノ材料を基盤としたセンサーを用い、VOCsがナノ材料上の分子と相互作用して変化する電気抵抗を解析した。被験者は装置から1-2cmの距離で2-3秒間息を吹き込む。中国武漢で実施された臨床試験には、49名のCOVID-19患者、58名の健常な対照者、33名のCOVID-19以外の呼吸器感染症患者が参加した。最適化された機械学習アルゴリズムは、COVID-19と健常者との識別で精度76%、COVID-19と他の呼吸器感染症との識別で精度95%、COVID-19と感染から回復した患者を精度88%で識別できた。
研究グループは、このプロトタイプのデバイスを今後より多くの集団で検証する必要があるとしている。アルコールの呼気チェッカーなどと同様の形式で検査が可能となれば、大規模集団で簡便に非侵襲的なスクリーニングを行う可能性が拓かれるだろう。