体外受精における適切な胚選択をサポートするAIシステム

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体外受精(IVF)は、妊娠を望む人々にとって価値あるソリューションとなってきた。一方で、体外受精の平均成功率は30%程度にとどまっており、技術的な打開策は多面的な検討が進められている。米国ブリガムアンドウィメンズ病院とマサチューセッツ総合病院の研究チームは、健康な出産に繋がる可能性が高い胚を高精度に選択できるAIシステムを開発した。

eLifeにて15日公表されたチームの研究論文によると、人工授精後113時間で取得された数千に及ぶ胚画像から、深層学習アルゴリズムをトレーニングしたという。導出されたアルゴリズムによる妥当性試験では、742個の胚から高品質なものを90%の精度で識別するなど高い汎化性能を示していた。また、胚の選定を行う臨床専門家との比較試験においても、そのパフォーマンスは有意に上回っていたとのこと。

アルゴリズムは高い識別精度を有す一方で、著者らは「当該システムが専門家による胚選択を支援するツール」であることを強調しており、あくまでスタンドアローンの選別システムとして臨床展開する意図のないことを明らかにしている。

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The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。

1. M.Okamoto MD, MPH, MSc, PhD
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、ロンドン大学ユニバーシティカレッジ(University College London)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員を経て、東京大学特任研究員など。専門はメディカルデータサイエンス。

2. T.Sugino MD
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。