チャットボットベースの症状チェッカー(CSC)は現在、スマートフォンアプリとしても広く普及を始め、初期診断と受診先選定の拠り所となろうとしている。一方で、「CSCには決定的にかけているものがあり、従来の受診プロセスに及ばない」とする研究成果が明らかにされた。
Medical Xpressが報じたところによると、米ペンシルベニア大学の研究チームは、この種のCSCアプリがサポートするのは既往歴の確認や症状評価、初期診断、追加検査の選定、紹介などに限定されることを示した。研究チームは、既にサービス提供の行われているCSCアプリの機能レビューのほか、インタビューによるユーザーエクスペリエンス分析を加えた定性評価を行った。アプリ単独では実際の検査施行や検査結果の解釈、最終診断の提供などの機能が不足することを指摘する。また、アプリユーザーは柔軟な症状の伝達ができないこと、曖昧な病歴が許容されないこと、意図の分からない質問などに機能の不足を実感していた。
研究チームは、入力システムの改善や分かりやすい文章表現・説明、チャットボットにおける会話機能の向上などによって大幅に改善できる可能性があるとする。CSCが完全に臨床ワークフローに取り込まれるのは時間の問題とみる向きが強い一方、研究成果は当該テクノロジーの進む方向性にひとつの示唆を与えるものとなっている。