米コロラド大学ボルダー校とノートルダム大学の共同研究チームは、読書中の眼球運動から文章の理解の程度を予測する機械学習モデルを構築した。研究成果は、査読付き学術誌であるCognitive Scienceにて8日公開されている。
チームの研究論文によると、それぞれ100名強の参加者を含む3つの研究データセットから当該アルゴリズムを導いたという。研究参加者は6,500語の長文1本、または1,000語の短文複数本を読み、その30分後に多肢選択式の質問によってテキストの理解度を測定された。データ数が限られていることから、過学習を防いで汎化性能を上げる目的に参加者レベルでの交差検証(cross validation)を用い、読書中のグローバルな眼球運動から理解スコアを予測する機械学習モデルを構築した。研究チームは、30分という時間間隔にも関わらず、眼球運動の様子からテキストの理解を予測できること、および特に「短い凝視」が理解力と関連する可能性を明らかにした。
同時に、別個の研究データセットから導いた予測モデルが、他のセットにおいても有効に機能していたことからより高い一般化可能性が期待されている。「眼球運動の様子からテキストの理解を予測する」というユニークな研究成果は、認知科学において大きな示唆を与えるもので、効率的な学習方法の確立や教育現場における評価手段の拡張、認知機能低下予防への活用などが期待される。