眼球運動の様子から理解力を予測する機械学習モデル

Photo by iStock

米コロラド大学ボルダー校とノートルダム大学の共同研究チームは、読書中の眼球運動から文章の理解の程度を予測する機械学習モデルを構築した。研究成果は、査読付き学術誌であるCognitive Scienceにて8日公開されている。

チームの研究論文によると、それぞれ100名強の参加者を含む3つの研究データセットから当該アルゴリズムを導いたという。研究参加者は6,500語の長文1本、または1,000語の短文複数本を読み、その30分後に多肢選択式の質問によってテキストの理解度を測定された。データ数が限られていることから、過学習を防いで汎化性能を上げる目的に参加者レベルでの交差検証(cross validation)を用い、読書中のグローバルな眼球運動から理解スコアを予測する機械学習モデルを構築した。研究チームは、30分という時間間隔にも関わらず、眼球運動の様子からテキストの理解を予測できること、および特に「短い凝視」が理解力と関連する可能性を明らかにした。

同時に、別個の研究データセットから導いた予測モデルが、他のセットにおいても有効に機能していたことからより高い一般化可能性が期待されている。「眼球運動の様子からテキストの理解を予測する」というユニークな研究成果は、認知科学において大きな示唆を与えるもので、効率的な学習方法の確立や教育現場における評価手段の拡張、認知機能低下予防への活用などが期待される。

前の記事71%のモバイルヘルスアプリに高レベルのセキュリティ脆弱性 – 米 intertrust 2020 レポート
次の記事耳鏡検査をAIで変革 – 米 Otologic Technologies
TOKYO analytica
TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。
The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。

1. M.Okamoto MD, MPH, MSc, PhD
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、ロンドン大学ユニバーシティカレッジ(University College London)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員を経て、東京大学特任研究員など。専門はメディカルデータサイエンス。

2. T.Sugino MD
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。