マンモグラフィ読影で放射線科医を超える市販AIシステムは存在するのか?

乳がん検診におけるマンモグラフィの有用性は広く知られるが、適切な読影水準にある専門医の確保は世界的に十分ではなく、AIによる画像分析の可能性が広く模索されている。スウェーデン・カロリンスカ研究所のチームは、3つの市販AIアルゴリズムに対する外部評価を行い、研究成果を公表している。

アルゴリズム生成段階や初期の妥当性試験において「AIが医師の読影能力を上回った」とする成果公表は時折見かけるが、これまでに十分数の被験者をもって科学的に妥当な方法によって検証した外部評価はなかった。JAMA Oncologyに公表されたチームの研究論文によると、8,805名の女性からなるマンモグラフィスクリーニングコホートを活用したという。研究参加者の739名には実際に乳がんが確認されており、これらに対して3つの市販AIアルゴリズムによる検出試験を行ったところ、うち1つのアルゴリズムについては放射線科医の読影精度を有意に上回っていることが確認された。一方で、同研究中において乳がん陽性症例を最大数補足したのは、最良のアルゴリズムと放射線科医を組み合わせた場合だった。

研究の結論として「市販のAIアルゴリズムには、既に読影業務を牽引できる程度に高い診断性能を備えたものが存在する」とする一方で、医師との組み合わせが現状では最良の成果を導く点を指摘し、読影専門医の置き換えが急速に進む見立てのないことは明らかにしている。

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TOKYO analytica
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The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。

1. M.Okamoto MD, MPH, MSc, PhD
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、ロンドン大学ユニバーシティカレッジ(University College London)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員を経て、東京大学特任研究員など。専門はメディカルデータサイエンス。

2. T.Sugino MD
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。