妊婦の感情と精神状態へのAI応用に発展の余地 – セビリア大学からのレビュー論文

産婦人科領域へのAI応用に関心が高まる中、スペイン・セビリア大学の研究者らは過去12年間にAIが妊婦へどのように利用されてきたかをまとめ、詳細なレビュー論文として発表している。

IEEE Accessに収載された論文「Artificial Intelligence in Pregnancy: A Scoping Review」では、2008年から2020年まで妊婦のために用いられたAI手法が考察された。なかでも感情を解析する「Affective Computing(AC)」の利用に焦点が当てられている。同論文では、妊娠中のリスク予測モデルに「感情」をパラメータとして考慮した研究がほとんどない(1.28%)ことを明らかとした。また、妊婦の精神的健康に焦点を当てた研究もわずか(5.1%)であった。

研究グループは「妊娠中のリスクに感情や精神状態が影響を与えるという科学的エビデンスが揃ってきている中で、AIおよびACの活用が十分に検討されていない現況には大きなギャップが生じている」と考察する。AIアプリケーションやウェアラブルデバイスの応用が進む今、同領域には明らかな発展の余地がある。

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TOKYO analytica
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The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。

1. M.Okamoto MD, MPH, MSc, PhD
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、ロンドン大学ユニバーシティカレッジ(University College London)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員を経て、東京大学特任研究員など。専門はメディカルデータサイエンス。

2. T.Sugino MD
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。