米国立がん研究所の報告では、成人男女の約4割が「生涯のある時点でがんの罹患がある」とする(参照)。近年、研究者コミュニティはビッグデータとAIアプローチに、真の個別化医療実現の可能性を感じており、悪性腫瘍管理に対しても多面的な研究の遂行が世界的に観察される。米マサチューセッツ総合病院の研究チームはこのほど、マンモグラフィ画像から5年以内の乳がん発症リスクを推定する深層学習モデルを導出した。
北米放射線学会(RSNA)の年次総会で公表された本研究成果によると、2009年から2016年の間に8万人以上に対して施行された、24万枚を超えるマンモグラフィ画像からこのアルゴリズムを構築したという。従来のリスク評価モデル(Tyrer-Cuzick Ver.8)と比較して、予測精度として16%強の改善を示した。研究チームは「我々の深層学習モデルは、マンモグラム内の微細なイメージングバイオマーカーの多様性を適切に捉えることができ、将来の乳がん発症リスクを正確に予測する」と話す。
この新しい深層学習モデルはスウェーデンと台湾において妥当性の検証試験が施行されているが、今後新たにアフリカ系アメリカ人と種々のマイノリティ集団に対する追加検証も計画する。既存画像に対する評価解析も可能である点から、より非侵襲的で低コストな評価手段として精密医療発展の助けとなる可能性が期待されている。