精子の細胞内pHから「体外受精の成功」を予測する機械学習アルゴリズム

体外受精(IVF)は不妊治療の1つで、取り出した卵子と精子から体外で受精卵を作り、これを子宮に移植するものだ。米ワシントン大学やノースウェスタン大学などの共同研究チームは、正常精子のpHからIVFの成功を予測する機械学習アルゴリズムを構築した。

Fertility and Sterilityからオンライン公開されているチームの研究論文によると、IVFを受ける男性で、精子に異常のみられない76名のデータからこのアルゴリズムを導いたという。ここではIVF成功予測のための主要な決定因子として、精子の細胞内pHを仮定している。精子pHおよび膜電位、臨床データから構築した勾配ブースティングによる機械学習アルゴリズムは、AUC 0.81、感度0.65、特異度0.80でIVFの成功を予測していたという。

研究チームは、臨床パラメータとともに精子pHなど受精能のマーカーを利用することで、IVFを受けている正常精子男性からの受精成功を予測できると結論づけている。生殖領域における機械学習手法の有用性にも言及しており、対象集団を拡張した研究継続とエビデンスの蓄積が期待されている。

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TOKYO analytica
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The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。

1. M.Okamoto MD, MPH, MSc, PhD
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、ロンドン大学ユニバーシティカレッジ(University College London)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員を経て、SBI大学院大学客員准教授、東京大学特任研究員など。専門はメディカルデータサイエンス。

2. T.Sugino MD
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。