COVID-19の治療計画策定において、患者個々の重症度スコアリングは重要なステップである。ただし、手動の定量分析は時間がかかり、定性評価は高速だが主観的となる問題点があった。米レンセラー工科大学やハーバード大学などの研究チームは、胸部CT画像を定量評価することでCOVID-19患者の転機を予測するAIシステムの開発に取り組んでいる。
International Journal of Computer Assisted Radiology and Surgeryから23日オンライン公開された研究論文によると、チームは肺葉と肺の混濁を効率的にセグメント化する深層学習フレームワークを開発しており、肺混濁の占める体積割合から重症度スコアを算出するという。イランのフィロズガー病院、米国のマサチューセッツ総合病院の患者データで評価したところ、AIベースの重症度スコアは放射線科医による評価と強く関連していた(スピアマンの順位相関係数で0.837)。また、ICU入室でAUC 0.813、死亡でAUC 0.741と、いずれも十分に高い予測パフォーマンスを示し、転機予測においては放射線科医を上回る可能性が示唆された。
研究チームは、今回得られた技術が他の肺疾患にも拡張できる可能性にも言及しており、医療画像を単に疾患診断や経過評価に用いるだけでなく、AIの利用によって直接的な予後予測と個別化された治療・管理計画の策定に活用できる余地が広がる事実を強調している。