ドイツ・ハンブルク大学の教育病院であるハンブルク・エッペンドルフ大学医療センターの研究チームは、「画像のみから脳出血の転帰を予測可能である」との研究仮説に基づき、頭部単純CT画像から転帰予測を行う機械学習アルゴリズムを構築した。研究成果はTranslational Stroke Researchから6日、査読つき論文として公表された。
チームの研究論文によると、多施設後向きコホート研究としてデザインされた本研究では、520に及ぶ単純CT画像と脳出血患者の臨床データからこのアルゴリズムを導いたという。退院時の臨床転帰はmodified Rankin Scale(mRS)を用い、良好・不良の2水準に分けた。画像単独でもAUC 0.8前後、最良のモデルに既存のスコアを統合したモデルにおいてはAUC 0.84とさらに高い識別精度を示しており、頭部初期評価としての単純CT画像から脳出血患者の転帰を予測できる可能性を強く示唆していた。
著者らは「画像単独による機械学習ベースの評価手法は、多次元臨床スコアリングシステムと同等の予測力を提供する」とし、AIアプローチの有効性を指摘するとともに、さらなる研究の拡大を見据えている。「初期診断画像から予後を評価するAIモデル」は各領域で比較的容易な実現可能性の検証ができ、今後も類似研究の加速することが見込まれる。