画像のみから脳出血の転帰を予測する機械学習アルゴリズム

ドイツ・ハンブルク大学の教育病院であるハンブルク・エッペンドルフ大学医療センターの研究チームは、「画像のみから脳出血の転帰を予測可能である」との研究仮説に基づき、頭部単純CT画像から転帰予測を行う機械学習アルゴリズムを構築した。研究成果はTranslational Stroke Researchから6日、査読つき論文として公表された。

チームの研究論文によると、多施設後向きコホート研究としてデザインされた本研究では、520に及ぶ単純CT画像と脳出血患者の臨床データからこのアルゴリズムを導いたという。退院時の臨床転帰はmodified Rankin Scale(mRS)を用い、良好・不良の2水準に分けた。画像単独でもAUC 0.8前後、最良のモデルに既存のスコアを統合したモデルにおいてはAUC 0.84とさらに高い識別精度を示しており、頭部初期評価としての単純CT画像から脳出血患者の転帰を予測できる可能性を強く示唆していた。

著者らは「画像単独による機械学習ベースの評価手法は、多次元臨床スコアリングシステムと同等の予測力を提供する」とし、AIアプローチの有効性を指摘するとともに、さらなる研究の拡大を見据えている。「初期診断画像から予後を評価するAIモデル」は各領域で比較的容易な実現可能性の検証ができ、今後も類似研究の加速することが見込まれる。

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The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。

1. M.Okamoto MD, MPH, MSc, PhD
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、ロンドン大学ユニバーシティカレッジ(University College London)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員を経て、SBI大学院大学客員准教授、東京大学特任研究員など。専門はメディカルデータサイエンス。

2. T.Sugino MD
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。