COVID-19のパンデミック以降、研究者たちは実験室的に確認されるPCR陽性者数(報告数)と、実感染者数の差に注目してきた。米テキサス大学などの研究チームは、機械学習アルゴリズムによってこの実感染者数を推定することにより、報告数は実態に比して著しく過小である点を指摘している。
オープンアクセスの査読付き科学ジャーナルであるPLOS ONEから公表されたチームの研究論文によると、パンデミック以降、米国での実累積感染者数は報告数の3倍程度と推定されるという。チームのモデルでは今月4日の時点で米国では7100万人が感染したとしており、これは陽性報告数の2670万件を大幅に上回る。推定された7100万人のうち、現在罹患中の者は700万人と推定される。また、特に被害が大きかった米国以外の25カ国における実際の累積症例数は、報告数の5-20倍にもなるとしている。
チームの機械学習モデルは公開済みの疫学的パラメータと症例報告数から日々最適化を続けている。著者らは「報告数のみに依存することなく、実症例数を正確に推定することが有効な公衆衛生政策の策定に欠かせない」とし、同フレームワークの強化と拡張を目指している。