COVID-19へのAI応用の倫理を問う研究

医療AIで新型コロナウイルスに立ち向かう最新テクノロジー(過去記事参照)は日々更新され、人類の英知が結集している。一方、ケンブリッジ大学拠点の研究機関 Leverhulme Centre for the Future of Intelligence(CFI)の専門家らは、拙速なAIアプローチの倫理的な課題に警鐘を鳴らす。CFIのニュースリリースでは、同研究所からBritish Medical Journalに新たに発表された2篇の論文を紹介している。

1本目は「COVID-19に取り組むための倫理的なAI活用」について述べた論文である。迅速で大規模なAIの展開の中で技術の利点が有害事象によって相殺されてしまう危険と、AIに対する社会全体の信頼が失われてしまう危険があるため、AI活用の当初から一貫した倫理的アプローチを採用する重要性を説いている。2本目は「AIがCOVID-19におけるヘルスケアで不平等を増大させる危険」について述べた論文である。AIの設計自体が、既存の不平等を助長してしまうようなバイアスの影響を受けやすいリスクについて主張している。

CFIのディレクターで論文著者のひとりであるStephen Cave氏は「危機的状況下で倫理的要件を緩和することは、意図しない有害な結果をもたらし、それはパンデミックの期間を超えて続くかもしれない」と述べ、大規模な危機であるからこその、AI技術適用の公平性と公正性の重要性を指摘している。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。
The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。

1. M.Okamoto MD, MPH, MSc, PhD
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、ロンドン大学ユニバーシティカレッジ(University College London)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員を経て、SBI大学院大学客員准教授、東京大学特任研究員など。専門はメディカルデータサイエンス。

2. T.Sugino MD
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。