アルツハイマー病(AD)の治療・進行抑制の観点から、最も介入効果が高いと考えられているのは病初期であり、ADの客観的な早期検出手法の開発は臨床的にも強く求められている。米ニューヨーク州立大学オールバニー校の研究チームは、ラマン分光法によって血液検査からADリスクを識別する機械学習アルゴリズムの構築を目指している。
ラマン分光法は、ラマン線の波長や散乱強度から物質の同定・定量を行う分光法で、赤外分光法では困難とされる水溶液スペクトルを、ごく微量の試料から測定することが可能となる。研究チームがこのほど、Spectrochimica Acta Part A: Molecular and Biomolecular Spectroscopyからオンライン公開した研究論文によると、高脂肪食によってアルツハイマー初期状態に誘導されたラットと、標準食で管理されたラットの血清分析を行った。ラマン分光法の定量結果に基づきトレーニングされた機械学習アルゴリズムは、外部検証用セットにおいても2群を100%の精度で識別することができた。
研究チームは「血清ラマン分光法とAIの組み合わせによって、ADの最初期ステージを把握することができる可能性がある」点を強調しており、将来的な早期スクリーニング手法としての潜在的有効性に言及している。