超音波装置の小型化・携帯型への進化により、ポイントオブケア超音波(POCUS)という概念が浸透してきた。それは超音波診断を専門にしない臨床医でも、観察する所見の焦点を絞ることにより、ベッドサイドで積極的に超音波検査を実施する臨床風景の到来を意味する。またPOCUSは現場で簡易に実施できる性質上、ウィズコロナ時代のベッドサイド診療に適している。
GEヘルスケアは30日付ニュースリリースで、同社の最新POCUSシステム Venue Fit、およびシリーズ製品のVenueとVenue Goに対して、心臓超音波用AIツール「RealTime EF」の搭載を発表している。RealTime EFは、心臓が血液を送り出す効率を示す駆出率(EF: ejection fraction)を、スキャン中にリアルタイムで連続的に自動計算する業界最先端のAIツールである。また今回の発表で紹介された同時搭載ツールには、「Lung Sweep(肺全体のダイナミックなパノラマビューを迅速に視覚化)」「Renal Diagram(腎臓の超音波画像にラベル付けするドキュメントツール)」が挙げられている。
COVID-19の拡大を背景として、病棟内外でPOCUSに対する需要は高まり、GEヘルスケアでは既存製品Venue Goの受注が2020年、前年比で5倍以上に増加したという。GEヘルスケアのPOCUS部門でジェネラルマネージャーを務めるDietmar Seifriedsberger氏は「この1年でPOCUSは、直感的な製品デザインとAIによる診断能力で、臨床医のベッドサイド診療で重要な位置を占めるようになった」と語っている。