敗血症は重篤化リスクが高く、院内死亡率の高い疾患として知られている。敗血症に対する抗生物質の投与タイミングは、疾患管理にとって重要な問題となる。
Nature Machine Intelligenceに発表された研究では、敗血症における抗生物質の投与タイミングに沿った治療効果を推定する新しい手法「T4」を提案している。T4は潜在的な交絡因子として時間的・静的変数を再帰的に符号化し、異なる治療順序の下での結果を復号化することで個々の治療効果を推定するもの。2つのリアルワールドデータセットを用い、T4が治療効果を推定した上で、効果的な治療タイミングを特定できることを実証している。
著者のPing Zhang氏は「あるタイミングに抗菌薬を投与することが有益かどうか、すなわちイエスかノーかを予測するモデルが求められている。しかし、抗菌薬を投与しなかった場合にどうなるかを実証することはできない。そこでモデルでは、臨床的に類似していて抗菌薬投与されていない患者をマッチングし、反実仮想の治療モデルを訓練した。こうして本モデルは敗血症治療が有効かどうかを予測できるようになった」と語る。
参照論文:
Estimating treatment effects for time-to-treatment antibiotic stewardship in sepsis
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