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外科医のパフォーマンスを向上させるAI

米カルフォルニア工科大学(Caltech)などの研究チームは、外科手術手技に関するスキルや質について、何に改善が必要かをフィードバックするAIシステムを開発した。研究成果は、Nature Biomedical Engineeringnpj Digital MedicineCommunications Medicineから公表された一連の論文で紹介されている。

このシステムは「Surgical AI System(SAIS)」と呼ばれ、外科医による手術動画と関連データからトレーニングされている。SAISは手術針の保持や組織への刺入、抜去などといった個別の動作を評価することで外科医のパフォーマンスを定量的に評価することができる。SAISは現在、複数の医療機関における手術動画の分析に用いられているという。

研究を主導したDani Kiyasseh氏は「SAISは正確で一貫性があり、拡張性のある外科医へのフィードバックを提供する可能性がある」と述べており、実際SAISは、外科医の技量レベルを知らせるとともに、特定のビデオクリップを指し示すことで「その評価の根拠」についても詳細なフィードバックを提供できるようになっている。

参照論文:

  1. A vision transformer for decoding surgeon activity from surgical videos
  2. Human visual explanations mitigate bias in AI-based assessment of surgeon skills
  3. A multi-institutional study using artificial intelligence to provide reliable and fair feedback to surgeons
TOKYO analytica
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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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