せん妄は、死亡率の上昇に寄与する独立した危険因子であり、患者の予後を悪化させることが知られている。過去の研究から、ICUに入院したCOPD患者において、せん妄の有病率が高いことが明らかになっており、特に注意が必要である。中国の研究チームは、ICU管理を必要とするCOPD患者のせん妄リスクを予測する機械学習モデルを開発し、その成果をPLOS Oneに発表した。
研究チームは、米ベス・イスラエル・ディーコネス医療センターに入院した19万人以上の患者データベース(MIMIC-IV)から、呼吸不全を伴うCOPDでICUに入院した65歳以上の患者1,155名を選択し、せん妄グループと非せん妄グループに分類して解析を行った。k近傍法、ランダムフォレスト、ロジスティック回帰、XGBoostの4つの機械学習モデルが訓練され、せん妄リスクを予測した。モデルの有効性は、検証セットにおいて正答率、F1スコア、適合率、再現率により評価された。その結果、XGBoostモデルが0.932という最高のAUCを示し、他にも正答率0.891、F1スコア0.810、適合率0.839、再現率0.795と優れたパフォーマンスを示した。さらに、せん妄の主要な危険因子として、SHapley Additive exPlanations分析により、Glasgow Coma Scaleスコア(言語機能)、入院期間、入院初日の平均SpO2などが特定された。
著者らは「本予測モデルの実用化に向けて、今後多様な集団において外部検証を行い、モデルの適応性を高める必要がある」と述べた。