がん免疫療法研究は、「正確な抗原の識別と攻撃方法の探索」という膨大な作業量が課題となる。免疫系が標的をどう認識するかは非常に複雑で変数が多いため、従来の解析手法では時間がかかる上に不正確なこともある。米クリーブランドクリニックとIBMの研究チームは、AIモデルを利用し、免疫細胞が用いるペプチド抗原の分子特性を特定する新しいアプローチを開発した。
Briefings in Bioinformaticsに発表された同研究では、AIモデルを用いて分子の形状が時間と共にどう変化するかを解析し、免疫系が標的抗原を認識するメカニズムを正確に描写できることを示している。このモデルにより、免疫療法の開発者らは、ワクチンや免疫細胞が標的とする重要なプロセスにのみ焦点を合わせることができる。
プロジェクトメンバーで筆頭著者であるIBMのJeff Weber博士は、「この発見は、IBMの先進的な計算リソースと、クリーブランドクリニックの医療専門知識を組み合わせたパートナーシップの成功例だ。がん免疫療法、物理学、AI、あらゆる分野の専門家とのコラボレーションは、技術イノベーションを促進する大きな可能性を秘めている」と述べた。
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