医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例軟部肉腫におけるMRIを用いたAIの診断的有用性:ミニレビュー

軟部肉腫におけるMRIを用いたAIの診断的有用性:ミニレビュー

軟部肉腫(筋肉や脂肪などの軟部組織に発生する悪性腫瘍)は、MRIにおいていくつかの特徴を示すが、これまでMRI画像のみから異形度や分化度を判別することは困難であった。ドイツの研究チームは、軟部肉腫におけるMRIを用いた畳み込みニューラルネットワーク(CNN)の診断的有用性についてのミニレビューを行い、その結果をFrontiers in Oncologyに発表した。

研究チームは、軟部肉腫におけるMRIを用いたCNNの診断的有用性に関する研究について、PubMed、MEDLINE、Google Scholarを検索し、基準を満たす12件の研究をレビューした。これらの研究のうち、7件は異形度と分化度の評価に関するもので、感度は0.85から0.98、特異度は0.33から1、AUCは0.74から0.96の範囲であった。また、3件は治療反応に関する研究であり、2件は転移と再発予測に関する研究であった。転移に関しては、肺転移の予測に関する研究であり、感度は0.47、特異度は0.97、AUCは0.83だった。使用されたAIモデルは、ResNet、ランダムフォレスト、サポートベクターマシンなど多岐に渡る。

本レビューでは、CNNを用いたMRIによる軟部肉腫の診断に関する多くの研究が、異形度および分化度の評価に焦点を当てていることが示された。特異度にはばらつきが見られるものの、診断性能は比較的良好であることが確認されている。研究チームは「将来的には本モデルにより、軟部肉腫の診断および評価のために穿刺が不要となる可能性がある」と述べた。

参照論文:

Diagnostic utility of MRI-based convolutional neural networks in soft tissue sarcomas: a mini-review

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Kazuyo NAGASHIMA
Kazuyo NAGASHIMA
長島和世 群馬大学医学部卒(MD)、The University of Manchester(MPH)。WHO/EMROにて公衆衛生対策に従事。2025年度より、アラブ首長国連邦にて、プライマリーケア診療。
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