ドイツがん研究センター(German Cancer Research Center)のチームは、皮膚組織からのメラノーマ(悪性黒色腫)診断において、深層学習アルゴリズムが病理専門医の診断精度を上回ったことを示した。研究成果はEuropean Journal of Cancerに収載されている。
チームの研究論文によると、ヘマトキシリン・エオジン染色を行った595の組織標本から畳み込みニューラルネットワークを利用し、メラノーマを識別するAIアルゴリズムを構築したという。追加に用意した100の標本において、11名の病理専門医と診断精度を比較したところ、AIアルゴリズムが感度・特異度・正確度からなる総合評価において、病理専門医を上回っていることが確認された。
近年の研究から、特にメラノーマの組織診断は難度が高く、熟練した専門医の間においても診断の不一致が25%程度にみられることが明らかとなっている。今回の研究成果はあくまで限定的な医師数においての評価だが、AIによる安定した診断精度が病理診断の大きな助けとなる可能性は非常に高いだろう。