動物の個体を識別することは、種の分布や行動特徴を理解することに役立つのみならず、生態系への深い理解と保全に大きく寄与する。一方で、従来から行われているマーキング法では、動物に対する過度の侵襲と予測不能のリスクが問題となってきた。中国・西北大学の研究チームは、「霊長類の個」を識別する機械学習アルゴリズムを開発した。
科学分野のオープンジャーナルであるiScienceに公表されたチームの研究論文によると、41種の霊長類から1,040の識別済み個体において、計10万を超える画像データを用い、機械学習アルゴリズムのトレーニング・検証を行ったという。最適モデルにおいては、霊長類の個を94.1%の精度で正しく識別しており、毎秒31枚の顔画像を処理することができた。
動物の顔画像から種を識別するAIアルゴリズムは多数提唱されてきたが、「霊長類の個」を識別するものは非常に珍しい。学習データに含まれる種のうち、霊長類24種については個体数が12を下回るなど、妥当なアルゴリズム生成の観点からは一定の限界を持つ。一方で、全く新しい安全な動物のフォローアップ手段を提唱する本アプローチには、今後の研究アップデートが強く期待されている。