医療の分野でAI技術の急速な成長が続き、将来的にはできないことがなくなるのではないかと思わせるほどであるが、AI技術の限界に関する議論も活発に行われている。NHSが発表した論文では、AI技術ですべてのことが解決するという考えは誤りであると、はっきり述べられている。
DigitalHealthによると、NHSは「Artificial Intelligence in Healthcare(ヘルスケア業界におけるAI技術)」と題した論文を発表した。この論文では、AIが積極的に医療に取り入れられるようになった現在、これをどのように有効活用するのか、AIはこれからどう発展していくのかなどについてまとめられている。その中でも特に目を引くのが、AI研究のみに注力しようとする政治家などについて論じた「医療問題をすべてAIで解決できるという考えは間違っている」という文章である。また、同論文では、医師などの医療従事者がAIに取って代わられることは今後ありえないとし、AIの正しい活用方法などに触れている。
WIREDによると、NHSは、ほかの企業と共同でAIを利用したヘルスケア機器なども開発しており、今回の論文が単なるAI批判ではないこともうかがえる。これからの研究においては、AIと人間の可能性についてよく考察した上で、AIにしかできないことが何かを考えることが重要になりそうだ。