AIと医学を結びつけるテーマに関して、技術開発はどのように質的変化したか。専門書籍、Googleの特許検索、AI関連学術誌、Pubmedデータベースなどから分析した研究を紹介する。
学術誌Chronic Diseases and Translational Medicine収載の論文は、78420編の研究を抽出し解析した。AIへの関心が指数関数的に成長していた曲線が2010年半ばに減速し、典型的なイノベーション曲線のS型を示し、開発が停滞または次の段階に入ったことが予測される。出版物で英語に続く言語は中国語・ドイツ語で、中国語はこの5年で減少し英語にシフトした。2010年前後に腫瘍学・がんの画像診断と遺伝子解析に急速に関心が高まったことがグラフ化されている。
MeSHタグ(Medical Subject Headings: 文献のキーワードとなる生命科学用語)を解析し、AIの臨床医学への応用を分類した表は、近年のトレンドを端的かつ網羅的に把握するにあたり秀逸である。初期段階を過ぎつつある研究開発は、無償のオープンソースツールなどから実臨床現場での応用と検証へとシフトしてゆく。また、消費者の手元に医療用AIが実際に届くようになってきた流れは、Apple WatchなどFDA承認の製品が増えてきたことでも実感されつつある。