米デューク大学放射線科の研究チームは、MRI画像から乳がんのサブタイプを識別する深層学習アルゴリズムの開発に取り組んでいる。乳がんの病期を示す「ステージ」とは別に、がん細胞の増殖力や治療薬への反応性から「サブタイプ」に分けられるが、これには生検や病変切除によって得られた組織サンプルが通常必要となっていた。
学術誌Computers in Biology and Medicine掲載の論文によると、研究チームは、270名の患者から撮影されたダイナミック造影MRI画像を利用し、3種類の深層学習アルゴリズムを構築したという。いずれも腫瘍病変がルミナルAタイプかそれ以外かを、MRI画像単独から識別しようとするもので、病変部位の特定自体は放射線科医が行っている。最も優れたパフォーマンスを示したもので、AUC 0.65であったとのこと。
がん細胞の性質を踏まえた最適な治療方針の決定には、乳がんサブタイプの決定が重要である一方、組織サンプルを得ることが前提であるために、検査における侵襲性の大きさも時として問題となる。人には識別することのできないMRI画像の微細変化を捉えることで、乳がんサブタイプ分類までを実現するか、今後の研究発展に関心が集まる。