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米メイヨークリニック 自宅外退院を予測するAIアルゴリズム

米メイヨークリニックの研究チームは、脊椎固定術後の退院先が自宅外になる、または予定外の再入院となるリスクを算出するAIアルゴリズムを開発した。追加の医療措置やリハビリが必要となる可能性を捉えており、治療方針や退院後計画など重要な医学的判断を支えるツールとして期待が集まる。

学術誌・Journal of Neurosurgeryにて公開された論文抄録によると、研究チームは、脊椎固定術を受けた約6万例に及ぶ症例データベースを利用し、「自宅以外の施設へ転院」または「退院後30日以内の予定外再入院」を予測するアルゴリズムを構築したという。7つの機械学習モデルを利用して精度を検討したところ、臨床上実用に堪える予測パフォーマンスが得られたとのこと。

脊椎固定術は整形外科領域で行われる一般的な治療で、脊椎の部分固定を行うことで神経の圧迫を解除するというもの。病状経過によって退院先が自宅以外となることも珍しくはないが、生じるコスト負担は多大で、医療経済的観点からも予測アルゴリズムの存在意義は大きい。関連研究としてハーバード大学からのものを過去に紹介しているので、こちらも参照して欲しい(過去記事)。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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