AIを利用し手術中の麻酔深度をモニタリング

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手術中の麻酔薬調節は厳密に行われている。投与量の不足は手術中の覚醒リスクとなり、過度な投与は覚醒遅延と予後影響が危惧される。パキスタン・ラホール大学の研究チームは、脳波のリアルタイムデータから麻酔深度を評価するAIアルゴリズムを開発した。

米国電気電子学会が編纂するIEEE Transactions on Biomedical Circuits and Systemsに10日公開された論文によると、研究チームは、術中のリアルタイム脳波データから麻酔深度を4段階(深い/中等度/浅い/覚醒)に分類する、新しい機械学習アルゴリズムを開発したという。これまでも脳波からの麻酔深度モニタリングは行われていたが、特定の麻酔薬や年齢層に限定されていたのに対し、このアルゴリズムでは麻酔薬の種類や患者の年齢を問わずに利用することができる。

従来の麻酔深度モニタリング・BISは、脳波の数値解析から鎮静レベルを1〜100で表現する。広く利用される一方、詳細なアルゴリズムが未公開であること、BIS単独での完全な術中覚醒予防が困難であることなど、複数の問題点があった。今回の新しいアルゴリズムが実臨床での有効性を示せるか、多施設での検証が期待される。

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TOKYO analytica
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1. M.Okamoto MD, MPH, MSc
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、ロンドン大学ユニバーシティカレッジ(University College London)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。専門はメディカルデータサイエンス。ロンドンでのベンチャーエンジニアを経て、英国内の大学で医療データベース研究に従事。

2. T.Sugino MD
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。