患者の状態悪化を事前に予測し対処することは非常に大切だが、現実的には非常に難しい。院内死亡の11%が「患者の状態悪化を迅速に捉えることの失敗」によるとの報告もある。2014年Googleによって買収されたAI企業DeepMindの研究チームは、電子カルテ記録から急性腎障害の発症を予測するAIアルゴリズムを開発した。
7月31日、学術誌Natureに公開されたレター論文によると、電子カルテ記録から生命を脅かすような深刻な病状の悪化や疾患発症を予測することができるという。チームは一例として急性腎障害を挙げ、70万例を超える患者データから疾患発症予測AIを構築した。アルゴリズムは入院中の急性腎障害発症エピソードの55.8%を予測し、引き続いて透析が必要となる重篤な急性腎障害の90.2%を予測することができた。
AIによるハイリスク患者の同定は、これまでにない迅速な治療介入を実現できる可能性があり、臨床現場からの期待も大きい。適用疾患には拡大できる余地が多分にあり、これまでの患者管理を激変させるテクノロジーとさえなり得るだろう。