認知症の6-7割を占めるといわれるアルツハイマー病は、高齢化にともない罹患数増加が著しい。米国においても580万人がこの疾患とつきあっており、2050年には1400万人近くに達すると推定されている。
より早期の正確な診断が予後に大きく影響するが、AIの活用も模索されている。HPC wireが報じたところによると、カナダのマギル大学のグループがアルツハイマー病と認知機能低下を予測するAIアルゴリズムを開発した。MRI検査、遺伝学的検査、臨床データから学習したアルゴリズムは、今後5年間でのアルツハイマー病に向けた悪化の可能性を予測する。オープンジャーナルPLOS Computational Biologyに研究成果が報告されている。
アルツハイマー病では、個人と家族への影響はもちろんのこと、社会的なコスト増も課題となる。2019年にはその他のタイプの認知症も含め2900億ドルの負担と推定、2050年には1.1兆ドルに上昇する可能性がある。治療方法が限定されている現状では、病気の初期段階を遅らせる予防効果への取り組みが進められ、AIによる予測が社会全体の負担を軽減することも期待されている。