オーストラリアにおける医療システムでは、睡眠障害が年間50億ドルのコスト負担につながっており、その半分以上が睡眠時無呼吸症候群に関連したものとされる。睡眠時無呼吸症候群は単に睡眠障害を惹起するだけではなく、糖尿病や心血管疾患、うつ病などとの関連も指摘されており、疾患管理の重要性を高めている。西オーストラリア大学(UWA)の研究チームは、機械学習アルゴリズムを利用し、人の三次元顔画像から睡眠時無呼吸症候群の存在を識別するシステムを開発した。
Healthcare IT Newsが27日報じたところによると、三次元顔画像から得られるランドマーク間の2点距離群を機械学習アルゴリズムに学習させ、睡眠時無呼吸症候群を持つ患者とコントロールの健常者との識別を行わせたという。学習済みアルゴリズムは91%の正確性で両者を識別できるようになった。
研究を率いたUWAコンピュータサイエンス・ソフトウェアエンジニアリングのSyed Zulqarnain Gilani博士は「アルゴリズム構築の上で最も大きな課題は、どのようにデータを収集するかだった」と話す。チームは2016年初頭から睡眠時無呼吸症候群を有する患者のデータを収集するとともに、コントロールとして、疾患を持たない一般集団から三次元顔画像を集めており、その労苦は非常に大きいものだったとのこと。チームは今後、学習データの規模を大きくして精度を高めるとともに、安価で容易に利用できるシステムの開発を目指すという。