英Moorfields Eye Hospitalに勤務し、AIに関する特段の専門知識を持たない臨床医が、Googleのソフトウェアを利用して高精度な疾患診断モデルを構築した。成果は学術誌The LANCET Digital Healthに公開された。
臨床医たちは、Googleが提供するCloud AutoMLを利用してアルゴリズムを構築したという。Cloud AutoMLは機械学習についての専門知識を持たない場合でも、実際的な機械学習の機能を利用できるよう設計されており、作成したモデルをアプリケーションやウェブサイトに統合するまでを実現している。同病院のチームは、網膜スキャンや胸部レントゲン、皮膚所見などの医用画像からアルゴリズムに学習させ、疾患名を導く5つの診断システムを開発した。このうち4つまでは、AI技術者が開発した診断アルゴリズムと同程度の精度を示したという。
現時点では一般的に、妥当なAI開発には高度の技術的専門知識を要する。一方で、このような背景知識の必要性を大きく押し下げ、広く技術利用を可能とすることで、特に専門性が高いためにAI技術者の介在がなされにくい「医学領域」へも機械学習技術の持ち込みが進む可能性があり、その潜在する利益は計り知れないだろう。