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Google Cloud AutoML – 専門知識を持たない臨床医が高精度な医療AIを開発

英Moorfields Eye Hospitalに勤務し、AIに関する特段の専門知識を持たない臨床医が、Googleのソフトウェアを利用して高精度な疾患診断モデルを構築した。成果は学術誌The LANCET Digital Healthに公開された。

臨床医たちは、Googleが提供するCloud AutoMLを利用してアルゴリズムを構築したという。Cloud AutoMLは機械学習についての専門知識を持たない場合でも、実際的な機械学習の機能を利用できるよう設計されており、作成したモデルをアプリケーションやウェブサイトに統合するまでを実現している。同病院のチームは、網膜スキャンや胸部レントゲン、皮膚所見などの医用画像からアルゴリズムに学習させ、疾患名を導く5つの診断システムを開発した。このうち4つまでは、AI技術者が開発した診断アルゴリズムと同程度の精度を示したという。

現時点では一般的に、妥当なAI開発には高度の技術的専門知識を要する。一方で、このような背景知識の必要性を大きく押し下げ、広く技術利用を可能とすることで、特に専門性が高いためにAI技術者の介在がなされにくい「医学領域」へも機械学習技術の持ち込みが進む可能性があり、その潜在する利益は計り知れないだろう。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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