免疫チェックポイント阻害薬は、がんに対する新たな治療選択肢として開発が進み、適用されるがん種が拡大している。小野薬品工業から発売されたニボルマブ(商品名オプジーボ)もそのひとつとして非小細胞肺がんなどに適用拡大された。治療選択肢が増える一方で、各個人に最適な治療法を選択する難しさが指摘される。
英メディアMedical News Todayでは、オハイオ州クリーブランドのケース・ウェスタン・リザーブ大学のチームが開発した「免疫チェックポイント阻害薬による治療で恩恵を受ける患者を予測するAIモデル」を紹介している。研究論文は学術誌Cancer Immunology Researchに発表されており、同研究は米国臨床腫瘍学会2019のがん財団功労賞を受賞している。そのAIモデルには、免疫チェックポイント阻害薬で治療された肺がん患者のCTスキャンが利用されており、2〜3サイクルの免疫療法ののちに腫瘍で起きているサイズだけではなく、そのテクスチャ(材質)の変化に注目していることがユニークである。研究グループのAnant Madabhushi氏は「腫瘍内の血管が破壊されるなどして、治療後にがんの結節が大きく見えることがあっても治療がうまくいっているケースがあります。そのようなテクスチャの変化が治療効果の良い予測因子となることをAIモデルで解析できることが分かりました」と語る。
今後、研究チームはさらに多くの施設や異なる免疫チェックポイント阻害薬で治療された患者のCTスキャンを集め、AIのテストをすすめてゆくことを計画している。免疫チェックポイント阻害薬はその高額な薬価が話題となることが多く、治療の有効性をより個別化して予測することが医療経済の観点からも重要となる。新たな研究はその一助となることを期待されている。