米ミシガン大学を中心とした研究チームは、脳腫瘍に関する術中迅速病理診断で、AIが病理専門医をやや上回る精度を示したことを明らかにした。研究成果は学術誌Nature Medicineで6日、レター論文として公開されている。
英国のオンラインペーパーIndependentが今日報じたところによると、チームの構築した画像診断AIは病理専門医による診断精度を1%上回ったという。ただし、従来の20分から30分を要した診断手順に関しては、2分30秒未満へと劇的な短縮を実現している。研究者らは「人が病理検査室で行うプロセス」と「実験的AIによるプロセス」が結果に対して異なるバラツキがあることを指摘し、病理専門医とAIが協調することでより高い精度を導ける余地があるとしている。
手術中の限られた時間内に病変部が悪性かどうか、転移や取り残しがないかを的確に知るには病理組織的な視点が欠かせない。一方で、通常の病理検査とは比較にならないほど短時間で行われる術中迅速診断では、組織標本の質も低いため診断自体が非常に難しい。AIによる診断医へのサポートは、精度担保・向上に寄与する現実的手段として期待が高まっている。